ユーリ・ティーレマンスは、2019年にイングランド上陸を果たしてから、レスターの欠かせないボランチとして活躍を続けていた中、2023年夏にアストン・ビラへと移籍。ベルギー代表としてもロシアW杯の3位などに大きく貢献し、プレミアリーグで実績豊富なティーレマンスは一体どのようなプレーをする選手なのか?本記事で紹介していく。
生年月日 | 1997年5月7日 |
国籍 | ベルギー |
所属クラブ | アストン・ビラFC |
ポジション | MF |
身長 | 176cm |
利き足 | 左足 |
経歴 | アンデルレヒト→ASモナコ→レスター・シティFC(loan)→レスター・シティFC→アストン・ビラFC |
ティーレマンスの最も特徴的なプレーは、高精度なパスにある。ボランチの位置で躍動する彼は常に周りの状況を観察し、長短のパスを用いて攻撃の起点となる。実際にレスターではパス数が2019-20からの2シーズンでチーム内1位、2021-22シーズンでは少し不調に陥った様子が見受けられたが、それでもチーム内2位のパス数を記録している。まだ25歳と若いが落ち着きはすでにベテランのそれであり、ブレンダン・ロジャース監督も全幅の信頼を寄せている。
またバイタルからのミドルシュートも得意としており、相手守備にとって動向を1秒たりとも見逃してはならない選手といえるだろう。
さらにティーレマンスはその攻撃センスに注目が集まりがちだが、彼の守備での貢献にも目を向ける必要がある。特にプレミアリーグに移籍してからは守備が大きく成長し、2020-21シーズンではエンディディに次ぐチーム2位のタックル数を記録。90分間にわたって守備をサボらないどころか、前線から積極的にボールを奪おうとする強さとスタミナも持ち合わせている。
2020-21シーズンのFAカップ決勝、チェルシーとの一戦で見せたスーパーゴール。覚えている方も多いのではないだろうか。0-0で迎えた63分、中盤でアヨセ・ペレスが奪取したボールを受け取ると、ボックスよりもかなり手前の位置から右足を振り抜く。そのシュートはゴール左隅、ケパも届かない完璧なコースへ。クラブ史上初のFAカップ優勝に導く決勝点となった。
アンデルレヒトのユースで育ったティーレマンスは、2013-14シーズンにトップチームへ昇格。開幕戦でプロ初出場を果たす。10月にはチャンピオンズリーグのオリンピアコス戦で16歳148日の当時大会史上3番目の若さながら先発でフル出場。名門アンデルレヒトで活躍し、16、17歳と2シーズン連続でベルギー年間最優秀若手選手賞を受賞する。2016-17シーズンではリーグ戦で27試合12得点と圧倒的な活躍を見せ、クラブのリーグ優勝に貢献。この年のベルギー最優秀選手賞を受賞した。
この活躍を他クラブが見逃すはずがなく、2500万ユーロ(約31億円)の移籍金でフランス、ASモナコに移籍した。ここでも主力として活躍すると、プレミアリーグのレスター・シティが目をつけて2018-19シーズン後半からレンタル移籍。するとすぐさま主力に定着し、13試合出場で3得点5アシストを記録した。
この活躍ぶりを見たレスターが彼を簡単にレンタルバックさせるわけもなく、同年夏には当時のレスター史上最高額となる4000万ポンド(約54億円)の移籍金で獲得。4年契約を結んだ。
完全移籍後はすっかりレスターの中盤の顔としておなじみとなり、3シーズンで15得点14アシストを記録。レスターがプレミアのトップ6の中に食い込むようになった一因は彼の活躍にあろう。
ベルギー代表では各年代で選出され続け、将来に大きな期待がかかるなか2015年にシニア代表に初選出。2016年に初出場を果たした。その後は「赤い悪魔」の主力として国内外から認識されるようになり、ロシアW杯やEUROで活躍をみせている。
2022-23シーズンに、レスターが2部へと降格。それに伴い、フリートランスファーでアストン・ビラへと移籍した。
ティーレマンスの両親は柔道の黒帯という実力者で、地元で柔道教室を開いていた。ティーレマンスも幼い頃は柔道を習っていたが、5歳でアンデルレヒトのユースチームにも加入。その後は柔道とサッカーの両方を習っていたが、16歳のトップチーム昇格時に柔道を辞め、サッカーに専念するようになった。
青帯(日本の2級に相当)になるまで上達したティーレマンスの柔道での経験は、練習で怪我をしないようにするために自身の体の限界を認知して、より己の肉体が回復するにはどうしたらよいかを学ぶ上で大いに役立っており、試合で常に100%の力を発揮出来る要因となっている。幼い頃の「二刀流」は、現在のフットボール界での活躍にも寄与しているようだ。
ビッグクラブ移籍が囁かれながらも、アストン・ビラへの移籍を決断したティーレマンス。即戦力としてチームを牽引す立場になることだろう。プレミアリーグで実績豊富な実力者は、新天地でどのようなパフォーマンスを示すのか注目だ。