【CL決勝】レアル・マドリードvsリバプール、注目すべき「4つの戦い」を城福浩が解説

2021-22シーズンのUEFAチャンピオンズリーグの決勝カードはレアル・マドリードvsリバプールとなった。2017-18シーズンの決勝と同カードとなったが、当時はレアルが3-1で勝利し、前人未到の欧州3連覇を達成した一方、試合序盤にエジプト代表FWモハメド・サラーがタックルを受けて負傷交代するなど、リバプールには遺恨が残る結末となっていた。因縁のファイナルについて、数々のJクラブを指揮してきた城福浩氏は注目すべき「4つの戦い」を挙げている。

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レアルvsリバプールで鍵を握るマッチアップとポジション

レアルはリーガ・エスパニョーラとスーペルコパ・デ・エスパーニャで二冠。リバプールはカラバオ杯とFA杯で二冠と、今季は互いに既に2度トロフィーを掲げているが、レアルは早い段階でリーグ制覇を達成したこともあり、CL決勝に向けて万全のコンディション調整と準備を進めることができている一方、リバプールはリーグ最終節までマンチェスター・シティと熾烈な優勝争いを繰り広げた末に2位で終えている。フィジカル面・メンタル面ともに置かれている立場が異なるものの、決勝まで勝ち上がってきた両チームには、劣勢を跳ね除ける驚異的な決定力を含め、いくつか共通点がある。そんな中で、城福浩氏はレアルとリバプールの対戦に関して、マッチアップやポジションの観点から試合展望を解説している。

2CB+GK

城福 浩

まずは、中央の守備。レアルはミリトン、アラバ、クルトワ。リバプールはファン・ダイク、マティプ、アリソン。この両チームの中央の守備陣に対しては、工夫の乏しいフィードやクロスで崩すのは、よほどのアクシデントがない限り、ほとんど不可能と言っていい。どちらのCBも強さ・速さ・高さがあり、GKはシュートストップに長け、守備範囲が極めて広い。この守備陣を相手にゴールネットを揺らすには、高速カウンターや、左右に何度も揺さぶることで、CBの片方をゴール前から引きずり出すこと、GKが予測しにくい瞬間を作ること、といったように、状況はかなり限られる。最高レベルにある中央の守備に対して、両チームが保有している攻撃の武器をどう駆使するのか。そこで主戦場となるのが、レアルの左サイド、すなわち、リバプールの右サイドになるだろう。

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ヴィニシウスvsアーノルド

城福 浩

どの対戦相手も、ヴィニシウスのドリブルへの対応に追われることで、守備のバランスを崩す。そして、ファイナルサードでシュート、ベンゼマへのパスを選択肢に入れられることを最も恐れている。相対するアレクサンダー・アーノルドは、リバプールにとって攻撃時の大きな武器であり、そのキックの精度と多様性で数多くの決定機を演出している。別の言い方をすれば、“攻撃vs攻撃”、“カウンター時の切り裂くドリブルvs遅攻時の仕上げのクロス”の対決となる。どちらの武器が発動される機会が多いのかが、勝敗の鍵を握るだろう。

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サラーvsマンディ

城福 浩

現在、サラーは右ウイングとしてトップ・オブ・トップのパフォーマンスを披露し続けている。ボックスの角でボールを持った時の左足の一振り、またはそれを見せながら、中と縦に切り込むドリブルの鋭さは、全盛期を迎えたと言える。対するマンディは、フィジカルを活かした1vs1のデュエルで無類の強さを見せる。このマッチアップは、純粋なる“攻撃vs守備”の対決となるはず。サラーが優勢となれば、カゼミーロやアラバがカバーに入らざるをえなくなり、マネやルイス・ディアス、チアゴ・アルカンタラらが中央に走り込むスペースが生まれる。一方、マンディがサラーとのデュエルを制することができれば、レアルはバランスを大きく崩さずに済み、得意の素早い切り替えからロングカウンターの強みを発揮できる。

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ヴィニシウスvsサラー

城福 浩

ウイングとサイドバックの局面の対人勝負は見応えはあるが、どちらが何回勝ったのか、というのは重要ではない。ヴィニシウスとサラーは、互いの特徴を出しやすいエリア、スペースの空き具合はもちろん異なるが、両者とも自分の間合いでボールを保持できる回数が3度あれば、決定機を創出することができる。それをチームとして創出するために、両チームは中央と逆サイドをしっかり経由して存在感を出すことで、彼らの得意な間合いを確保させようとするだろう。それをチームとして阻止するせめぎ合いという展開になると予想している。ヴィニシウスvsサラーの戦いが、奇しくも同サイドとなるのは面白い。決定機創出のために、あるいはそれをさせないために、両指揮官がどのようなタスクを与えるかは要注目である。それは当人だけでなくグループとして対応し機能させる必要があり、勝敗を決するものになるだろう。

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レアルvsリバプールの注目すべき「4つの戦い」のまとめ

レアルとリバプールは2018018シーズン以来、CL決勝の舞台で再び顔を合わせることになったが、

  • 2CB+GK
  • ヴィニシウスvsアーノルド
  • サラーvsマンディ
  • ヴィニシウスvsサラー

城福浩氏は上記のポイントが試合の行方を分けると見解を述べた。4年前はレアルに軍配が上がったが、今回はどちらに勝利の女神が微笑むことになるのだろうか。決勝トーナメントでチェルシー、シティを撃破してきたレアルが、プレミアリーグ勢を完全攻略するのか。今季CLでわずか1敗のみに留まるリバプールが“白い巨人”にリベンジを果たすことになるのか。最高レベルの激突から目が離せない。

当記事のインタビュイー

城福浩のプロフィール

U-17日本代表 監督…AFC U-17選手権優勝

FC東京 監督…ナビスコ杯優勝

ヴァンフォーレ甲府 監督…J2優勝

サンフレッチェ広島 監督…J1リーグ2位

東京ヴェルディ 監督…2022年〜現在

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ジョータツ

「Off The Ball」編集長。 大手サッカー専門メディアに過去6年配属。 在籍時は、高校サッカー・J1リーグを主に担当。 「DAZN」企画でドイツ・スペインへの長期出張で現地取材を経験。 人生の転機は、フェルナンド・トーレスの引退会見で直接交わした質疑応答。 趣味はサウナ。