韓国代表は、日本代表のライバルであり、ともにアジアを盛り上げてきた存在で、W杯も10大会連続出場と、常連参加国になりつつある。カタールW杯では、ポルトガル・ウルグアイといった強豪国がひしめくグループHに所属するが、韓国にとってどのような大会になるのだろうか?サッカー専門YouTubeチャンネルでMCを務め、データ企業を経営する戦術分析家のノーミルク佐藤氏が見解を述べている。
韓国代表にとってカタールW杯は厳しい大会に?
韓国は現在、ナポリに移籍したDFキム・ミンジェが主力として大活躍している一方、絶対的エースのトッテナムFWソン・フンミンが顔面の負傷によるアクシデントで、W杯欠場が懸念されたものの、メンバーには選出された。しかし、手術を終えて合流したばかりの状況だ。
あくまで個人的な意見だが、3試合通したトータルの結果で言うと、厳しいんじゃないかなと…。今大会のメンバーで言えば、キム・ミンジェはナポリで際立ったパフォーマンスを示していたけれど、痛手だったのはやはりソン・フンミンの負傷。出場はできるだろうが、100%のコンディションではないはず。それでもソン・フンミンならある程度はやってくれるだろう。でも、本当の問題はソン・フンミン以外の2人のFWにある。
日本代表とは真逆と言える韓国攻撃陣の状況
韓国はソン・フンミンの他に、ウルブスFWファン・ヒチャン、オリンピアコスFWファン・ウィジョが攻撃陣の主力を担っているが、その両選手は今季振るわないシーズンを過ごしている。
韓国は3トップの左がソン・フンミン、右にファン・ヒチャン、中央にファン・ウィジョとなる可能性が高いが、ヒチャンとウィジョが今季は所属クラブで全然ゴールを奪えていない。日本とは真逆な状況にある。日本は、攻撃陣がクラブで好調を維持している。献身的なプレーの評価ではなく、得点という目に見える結果を残している。あの古橋選手ですら選考外となった一方、韓国は攻撃陣の選択肢がさほど多くなかった。
韓国代表は攻撃陣の選択肢の少なさが課題に
日本の攻撃陣は、今季目覚ましい結果を残している選手が多く、W杯のメンバー選考でも、特に攻撃陣はポジション争いが過去最高と言っていいほどに激化した。セルティックで大活躍しているFW古橋亨梧やMF旗手怜央ですら選考から漏れるほどの高いレベルの争いだった一方、韓国に関しては、日本と比べて選択肢が少ない選考と言わざるをない実情がある。
W杯において、守備の選手は、好調ではなくても安定性が重要視される。一方、攻撃の選手は安定性にやや欠けていても、短期決戦において、その瞬間に好調である選手が重宝される傾向が世界的にも多い。そう考えた時に、負傷を抱えている選手と、調子が上がっていない選手で3トップを組まなければいけなくなっているのが韓国の現状。
“ソン・フンミン依存”の代償を支払う可能性も…
日本は選手個人に依存しないようなフレームワークを構築してきた一方、韓国はどうしても世界最高峰のアタッカーであるソン・フンミンに頼りがちなチームとなっており、そのエースがフル稼働できるか算段が立たない中で、厳しいグループリーグを戦っていくことになる。
9月の親善試合ではカメルーンに1-0、コスタリカに2-2という結果で終わっているが、合計3得点のうち、2得点を奪ったのがソン・フンミン、残り1得点がヒチャンだったが、それ以外の選手で得点を奪う形が不透明なまま今大会を迎えている。果たして、ぶっつけ本番で活路を見出すことができるのか、というところが懸念点にはなる。なので、フライブルクのチョン・ウヨンやマジョルカのイ・ガンインといった若手選手がきっかけを掴む大会にするのが、韓国にとっては前向きかもしれない。
カタールW杯に臨む韓国代表のまとめ
絶対的エースのソン・フンミンの負傷、攻撃の主力を担うファン・ヒチャン、ファン・ウィジョの不調と、万全な状態で本大会に乗り込むことは叶わなかった韓国だが、サウジアラビア、日本がカタールW杯で優勝国候補を相手に大金星を飾った姿に刺激を受けていることは間違いないはずだ。
ノーミルク佐藤のプロフィール
株式会社Lifepicture代表取締役、YouTubeCH「ミルアカ」MC『ノーミルク佐藤』。
複数webメディアの運営や企業の経営改善、マーケティング、プロモーション、教育事業を行う傍ら、自社でサッカーのデータラボを立ち上げ、独自にデータの収集・分析・開発を行う。
ABEMA「ゼルつく」の専属データマンとしての出演、ABEMA「FIFAワールドカップ2022抽選会生中継〜最速予想&分析SP〜」などの出演、GOAL主催Jリーグ版NXGN2021選考委員等も務める。