城福浩のプロフィール
U-17日本代表 監督…AFC U-17選手権優勝
FC東京 監督…ナビスコ杯優勝
ヴァンフォーレ甲府 監督…J2優勝
サンフレッチェ広島 監督…J1リーグ2位
東京ヴェルディ 監督…2022年〜現在
カタールW杯開催に際し、「Off The Ball」では各優勝国候補の特長と懸念点を、東京ヴェルディで指揮官を務める城福浩氏が独自の視点で解説する特集を組む。今回は、ポルトガル代表にスポットライトを当てる。
対戦カード | スコア | 得点者 |
vs ガーナ代表 | 3-2 | C・ロナウド ジョアン・フェリックス ラファエル・レオン |
vs ウルグアイ代表 | 2-0 | B・フェルナンデス×2 |
vs 韓国代表 | 1-2 | オルタ |
vs スイス代表 | 6-1 | ゴンサロ・ラモス×3 ぺぺ ラファエル・ゲレイロ ラファエル・レオン |
vs モロッコ代表 | 0-1 |
※当記事のインタビューは2022年11月17日に実施したものです。
ポルトガルは過去、主要大会で好成績は残すものの、優勝経験は一度もない“無冠の帝王”とされていたが、2016年のEUROで初優勝を飾ったことで、その後も本格的な“優勝候補”と評価されるようになった。とりわけ近年は強豪国の中でも随一のワールドクラスを揃えるタレント軍団となっている。
ポルトガルは、欧州各国の主要クラブに在籍している選手たちが現在進行形で主力として活躍している。さらに、近年のポルトガルリーグは欧州大会で躍進している中、その原動力となっている選手たちも目白押しとなっている。攻撃陣はさることながら、守備陣もカンセロやルベン・ディアスといった世界でトップクラスの人員が名を連ねている。また、特に中盤で有望な若手も頭角を現していて、選手層で言えば、間違いなく大会屈指。ポルトガル人選手は、近年のサッカー界で大きなトレンドとなっていると言える。
4-2-3-1システムを軸とするポルトガルにおける最大の武器が2列目。リバプールFWディオゴ・ジョタ、マンチェスター・ユナイテッドMFブルーノ・フェルナンデス、マンチェスター・シティMFベルナルド・シウバといった豪華な顔ぶれとなっており、2列目の陣容においては世界No.1と言っても過言ではなかった。
しかし、ジョタが負傷で欠場することになったため、最高峰の2列目でW杯を戦うことが叶わなくなったことを、城福浩はポルトガルの懸念材料の1つとして指摘している。
ある程度メンバーを固定して戦ってきているので、攻守において連携面はかなり仕上がっている。しかし、懸念点が2つ。1つ目は、ジョタの不在。リバプールに加入して以降、見事なパフォーマンスを見せていたが、直前の負傷で、残念ながらW杯を欠場することになった。ポルトガルの2列目は、左にジョタ、真ん中にブルーノ・フェルナンデス、右にベルナルド・シウバが主力だった。この2列目は世界最高レベルと言える。そんなポルトガル最大の武器である2列目の一角が大会で不在というのは、大きな痛手になる。
もうひとつの懸念点として名を挙げたのが、ユナイテッドFWクリスティアーノ・ロナウドだ。これまで絶対的エースとしてチームを支えてきたスーパースターだが、所属クラブでは厳しい立場を余儀なくされている。
2つ目は、クリスティアーノ・ロナウドの存在。ユナイテッドでは、新体制で主力の座から降ろされ、ベンチ要員になった。これまで10年以上にわたり、毎試合のように得点を決めてきたロナウドが、ここまで試合に出場できないのは、彼自身初めての体験で、試合勘を含めて歯車が狂ってしまう可能性はある。一方で、コンディション面に関して言えば、出場時間が激減した分、全く疲れてはいないはず。なので、現在のロナウドの立場が、良い方向に転がるのか悪い方向に転がるのか、非常に読みづらい部分ではある。
※マンチェスター・ユナイテッドは11月23日にC・ロナウドとの契約解除を正式発表。
ジョタの欠場、ロナウドの不遇はポルトガルにとって深刻な問題となりえる一方で、ジョタが不在だからこそ、ロナウドの得点能力から逆算するチーム作りに振り切ることになり、チームが勝ち抜くためのコンセプトは明確となる可能性も指摘している。
得点力に長けたジョタの欠場により、フィニッシュの面は事実上、ロナウドを頼りにする選択肢しかなくなり、戦い方が明確になったという考え方もできる。例えば、対戦相手によってはハードワーカーで前半を乗り切り、後半からロナウドを投入して勝負を仕掛ける、といった戦略で先発メンバーを構成していくというプランもあるかもしれない。サントス監督が、このスーパースターに対してどのようなタスクを託すのか、また彼がチームの中でどのような立ち振る舞いをするのか。いずれにしてもロナウドがチームの浮沈の命運を握っている。
ロナウドにとって、シーズン開幕から波に乗り切れないままW杯を迎えることにはなったが、この厳しい逆境こそ、ロナウドの輝く舞台が整っているという捉え方もあるかもしれない。
ロナウドは所属クラブでベンチに追いやられ、プライドも傷ついていることだろう。ただ、あくまで印象論にはなるが、こういう時のロナウドは勝負強い。蓄積したフラストレーションを、ゴールという結果で爆発させてくる予感もしている。彼の反骨精神に期待したい。
今冬の移籍市場で移籍が確実視されているが、そういう意味でも、今回のW杯はロナウドにとってこれ以上ないアピールの場とも言える。ロナウドにとっては最後のW杯となる可能性も高いが、彼の執念がどのような形でポルトガルとW杯に影響を与えるのか見ものだ。
ポルトガル代表はカタールW杯において優勝候補の一角と評価されている中、城福浩氏は特長と懸念点をそれぞれ独自の視点で、下記のような形で解説した。
U-17日本代表 監督…AFC U-17選手権優勝
FC東京 監督…ナビスコ杯優勝
ヴァンフォーレ甲府 監督…J2優勝
サンフレッチェ広島 監督…J1リーグ2位
東京ヴェルディ 監督…2022年〜現在