【W杯】オランダ代表の“特長”と“懸念点”は?城福浩が解説

オランダ代表の解説
【引用:Sky Sports公式サイト & Off The Ball編集部】

カタールW杯開催に際し、「Off The Ball」では各優勝国候補の特長と懸念点を、東京ヴェルディで指揮官を務める城福浩氏が独自の視点で解説する特集を組む。今回は、オランダ代表にスポットライトを当てる。

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オランダ代表のカタールW杯での成績

対戦カードスコア得点者
vs セネガル代表2-0ガクポ クラーセン
vs エクアドル代表1-1ガクポ
vs カタール代表2-0ガクポ フレンキー・デ・ヨング
vs アメリカ代表3-1デパイ ブリント ダンフリース
vs アルゼンチン代表2-2(PK:3-4)ベグホルスト×2

オランダ代表の強みは「CBの充実度」

※当記事のインタビューは2022年11月17日に実施したものです。

オランダはグループAでカタール・エクアドル・セネガルと同居しており、格としてはオランダが頭ひとつ抜けている立場にある。ルイス・ファン・ハール監督の下、3バックシステムを採用している中、城福浩氏はオランダの強みとしてまずセンターバック(CB)の選手層を挙げており、キープレーヤーにアヤックスDFユリエン・ティンバーを指名している。

城福 浩

オランダの強みは2つ。まずはCBの充実度。ファン・ダイク、アケ、ティンバー、デ・リフト、デ・フライ…。CBの選手層に関しては、おそらく今大会No.1と言っていいだろう。3バックは、彼らCBからチーム構成が逆算されているのが見て取れる。注目すべきはティンバーだろう。彼の持ち運びは、オランダ代表でもアヤックスでも攻撃の要となっている。3バックの両脇のCBによる攻撃参加は、相手にとってどうしても捕まえづらく、フリーで侵入させてしまいがち。ティンバーこそ近代的な“攻撃的CB”の代表格と言える。

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オランダ代表のキーワードは「アヤックス」

さらに、キーワードとして挙げたのが“アヤックス”だ。先発にもサブにも現アヤックス、元アヤックスの選手が複数人いることから、ビジョンの共通認識や連携面が他の優勝国候補に比べても高いレベルにあると見解を述べた。

城福 浩

もうひとつは、代表メンバーの多くにアヤックス在籍経験があること。ファン・ハール監督だって、アヤックスで指導経験があるわけだからね。コミュニケーション面はもちろん、互いにどう動くべきか、何をするべきかが、他のチームよりも整理されている印象を受けている。

アヤックスでプレー経験のある選手一覧

  • GKレムコ・パスフェールリスト
  • DFダレイ・ブリント
  • DFユリアン・ティンバー
  • DFマタイス・デ・リフト
  • MFフレンキー・デ・ヨング
  • MFステフェン・ベルハイス
  • MFデイヴィ・クラーセン
  • MFケネス・テイラー
  • FWステーフェン・ベルフワイン
  • FWノア・ラング
城福 浩

“アヤックス”という共通事項によって、プレーに関する相互理解の深さ、戦術的な共有が事前にある程度できている。W杯のように準備期間が少ない大会において、同じチームでプレー経験のある選手が多くいるのは、大きなアドバンテージとなってくる。オランダ代表=ワールドクラスが集うアヤックス、と考えたら、優勝国候補として挙げてもなんら不思議はないだろう。

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負傷明けのデパイに懸念される試合勘

一方で、オランダが抱える問題として、攻守を支える2人の看板選手のコンディション不良を指摘。1人目がバルセロナFWメンフィス・デパイだ。長期負傷によりW杯欠場の可能性を囁かれていたが、メンバーには選出されたものの、フィジカル的に万全ではない状態、そしてバルセロナの不遇も懸念材料として触れている。

城福 浩

オランダの懸念点は、攻守の主軸にある。攻撃面では、エース格であるデパイの不振。メンバーには選出されたが、負傷明けでフル稼働する状態にはおそらくないのではないか。また、フィジカル面で問題なくても、所属するバルセロナでは構想外の立場にあり、今季はプレー自体が全然できていない状況にある。試合勘という意味でも、デパイは大きく出遅れてしまっている。グループリーグでは乗り切れても、決勝トーナメントで優勝国同士の対決となった時、エースの調子の差が浮き彫りとなる可能性は高い。

低調ファン・ダイクが拭い切れない疲労感

2人目は、リバプールDFフィルジル・ファン・ダイク。世界最高のCBと呼び声が高かったが、今季は序盤からエンジンがかからず、失点を積み重ねている。クラブも絶不調に陥っているが、昨季に公式戦63試合と尋常でないゲーム数をこなしたことに加え、W杯の11〜12月開催に伴い、今季も過密日程を強いられている。そういった背景が、ファン・ダイクのパフォーマンスにも大きく影響していると指摘した。

城福 浩

守備面で言えば、ファン・ダイクの疲労感。所属するリバプールで、ファン・ダイクがこれまでのような存在感を発揮できていないというのも要因の一端にある。昨季はリーグ戦で優勝争いしたのに加え、CLを含める全てのカップ戦で決勝に駒を進め、4冠に王手をかける、ある種の常軌を逸したシーズンを送った。その中でファン・ダイクはほぼフル稼働しており、W杯開催の関係でオフシーズンもほぼなかった。年齢的にも若くないことを考えると、今季にダメージを引きずってしまっているのは、ある意味仕方のないことではあるが、代表にとっても不可欠な存在である分、マネジメントは大変だろう。

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オランダ代表の“特長”と“懸念点”のまとめ

オランダ代表はカタールW杯において優勝候補の一角と評価されている中、城福浩氏は特長と懸念点をそれぞれ独自の視点で、下記のような形で解説した。

  1. 今大会で最高レベルと評価できるCBの充実度
  2. ティンバーの攻撃参加がオランダ代表の武器に
  3. アヤックス在籍経験のある選手が多いことによる相互理解の深さ
  1. 負傷明けデパイのフィジカル問題と試合勘の欠落
  2. 主将ファン・ダイクに蓄積する疲労感とダメージ
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当記事のインタビュイー

城福浩のプロフィール

U-17日本代表 監督…AFC U-17選手権優勝

FC東京 監督…ナビスコ杯優勝

ヴァンフォーレ甲府 監督…J2優勝

サンフレッチェ広島 監督…J1リーグ2位

東京ヴェルディ 監督…2022年〜現在

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この記事を書いたライター

「Off The Ball」編集長。
大手サッカー専門メディアに過去6年配属。
在籍時は、高校サッカー・J1リーグを主に担当。
「DAZN」企画でドイツ・スペインへの長期出張で現地取材を経験。
人生の転機は、フェルナンド・トーレスの引退会見で直接交わした質疑応答。
趣味はサウナ。

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