カタールW杯が幕を閉じ、日本代表はベスト16の成績に終わった。ベスト8の目標には到達できなかった一方、優勝経験国のドイツ代表とスペイン代表を撃破する快挙を成し遂げ、全世界に大きなインパクトをもたらした。ロンドン五輪で日本をベスト4に導き、日本サッカー協会技術委員長も務めた関塚隆氏は、今大会の日本の試合で最も印象に残ったシーンを挙げている。
最も印象的だったのは“権田修一が見せた18秒間”
日本はグループリーグのドイツ戦・コスタリカ戦・スペイン戦、そしてベスト16のクロアチア戦の計4試合を戦ったが、関塚隆氏が印象深かった場面として、ドイツ戦の後半25分にGK権田修一が見せた4連続セーブを挙げた。
ドイツ戦のシーンになるかな。先制されて、ドイツが試合を終わらせるための追加点を奪う猛攻を仕掛けてきた際に、権田が18秒間で4回連続のスーパーセーブを見せ、チームを救った。あの場面で失点していたら、日本の劇的な逆転劇は、おそらく実現しなかっただろう。あそこで耐え切ることができたからこそ、後半に思い切った采配を振るうことができた。あの18秒間は、日本のターニングポイントだったんじゃないかなと思う。
スペインの“本気采配”に森保監督が打った対応策
また、スペイン戦では日本が逆転に成功した場面で、ルイス・エンリケ監督はDFジョルディ・アルバを筆頭に主力勢を投入したのに対し、森保一監督のDF冨安健洋を投入する対応策にも注目している。
絶対に勝ち点を取らなければいけなかったスペイン戦でも、負傷明けの冨安に関して、時間限定でフルでは使えなかったという判断だったのだろうし、どういった試合状況で、どのタイミングで、どのような役割でピッチに送り出すのか。非常に重要だったと思うし、スペインが攻撃的なカードを打ち出してきたのと同時に、右ウイングバックに冨安を入れるのは、あの局面において最善策だった。スペインは外から駆け上がってくるジョルディ・アルバが一番怖いからね。
日本代表で最も印象に残ったシーンのまとめ
ドイツ戦で権田が立て続けの窮地を救った直後に、MF堂安律の同点ゴールが生まれたことを考えても、日本の命運を分けたシーンと言っても過言ではなかった。また、確実に勝ち点が必要なスペイン戦でも、相手の“本気モード”に対して、すぐさま的確な采配を決断した場面も、重要な場面となった。目標に据えていたベスト8進出には課題が残ったものの、過酷と評判だったグループリーグで見せた戦いは、確かな礎となったはずだ。
関塚隆のプロフィール
鹿島アントラーズ コーチ
清水エスパルス コーチ
川崎フロンターレ 監督…J2優勝
U-23日本代表 監督…ロンドン五輪ベスト4
ジュビロ磐田 監督
ジェフユナイテッド千葉・市原 監督
日本サッカー協会 技術委員長