城福浩のプロフィール
U-17日本代表 監督…AFC U-17選手権優勝
FC東京 監督…ナビスコ杯優勝
ヴァンフォーレ甲府 監督…J2優勝
サンフレッチェ広島 監督…J1リーグ2位
東京ヴェルディ 監督…2022年〜現在
カタールW杯開催に際し、「Off The Ball」では各優勝国候補の特長と懸念点を、東京ヴェルディで指揮官を務める城福浩氏が独自の視点で解説する特集を組む。今回は、ドイツ代表にスポットライトを当てる。
対戦カード | スコア | 得点者 |
vs 日本代表 | 1-2 | ギュンドアン |
vs スペイン代表 | 1-1 | フュルクルク |
vs コスタリカ代表 | 4-2 | ニャブリ ハヴァーツ×2 フュルクルク |
※当記事のインタビューは2022年11月17日に実施したものです。
ハンジ・フリック監督は2019年から2年間、バイエルン・ミュンヘンを指揮し、2021年からドイツ代表に就任。バイエルンにはポーランド代表FWロベルト・レバンドフスキがいた一方、ドイツ代表には絶対的エースと呼ばれる存在がいるわけではない。それもあってか、フリック監督は前線が流動的に攻め込むチームを作り上げた。
フリック監督がドイツ代表で体現しようとしているサッカーははっきりしていて、前線4枚をポジションに縛らせず、トータルフットボールのような形で流動的に動き回る戦術となっている。これは、バイエルンを率いていた時代と少し異なり、レバンドフスキのような絶対的エースが代表には不在であることが起因しているかもしれない。ただ、サイドのサネやニャブリ、ホフマンがカウンター時はセンターFWの位置取りをしていたりと、相手守備陣からしたら、捕まえにくい陣容になっている。
ドイツ代表にはバイエルンから多くの選手を選出しているため、同クラブで指導経験のあるフリックにとっては、ただスター選手を寄せ集めた組織ではなく、チームコンセプトを円滑に浸透させることのできる土台は整っていた。
ボールを握るコンセプトを大事にしながらも縦に速いサッカーで、ネガティブトランジションの際には全員がボールに襲い掛かる、という戦術がチーム全体に浸透している。フリック監督がバイエルンを率いてからドイツ代表に就任したという過程もプラスに働いているように見える。彼の志向に基づいた選手の評価基準が明確であり、そのため起用にも一貫性が感じられる。技術・フィジカル・スピード・新たな選手の登用という側面ばかりに囚われるのではなく、どこで主導権を握るのか。そこからの逆算でメンバーを選考している。
ドイツにとっての懸念材料は、ライプツィヒFWティモ・ヴェルナーの負傷欠場だろう。スピードを武器とするヴェルナーと、偽9番として稼働できるチェルシーFWカイ・ハフェルツの2枚を使い分けることができなくなったのは大きな痛手だ。
懸念点に関しては、ヴェルナーの負傷離脱は大きいだろう。ただでさえセンターFWのポジションの選手層が厚いわけではない中で、スピードを活かして最終ラインの裏を突くヴェルナーと、偽9番のような役回りでチャンスを創出するハフェルツは全く異なるタイプで、だからこそ局面で使い分ける選択ができたが、ヴェルナー不在でハフェルツの起用が続けばと、戦い方が一辺倒になり、大会期間中に対策されやすいチームとなってしまう可能性はありえる。
そんな中、城福浩氏が期待を寄せているのがバイエルンMFジャマル・ムシアラとドルトムントFWユスファ・ムココだ。年齢を足しても36歳という若き至宝2人が、ドイツの起爆剤となる可能性を指摘している。
ムシアラとムココという2人の超新星が鍵を握りそうだ。ムシアラは19歳にしてバイエルンの主力に定着し、シュートセンスもパスセンスも抜群。とりわけあのアジリティーの高さは秀逸で、ボランチから縦パスを受けた時、相手のマークを剥がす反転で、前を向いて運ぶことができる。彼にボールが供給されるタイミングが、攻撃のスイッチになる。そしてムココは、17歳という年齢でW杯に招集されたが、爆発的なスピードを誇り、カウンターで迫力を出せる選手。そういう意味では、ヴェルナーの役回りを託すには、彼が適任だろう。
ドイツ代表はカタールW杯において優勝候補の一角と評価されている中、城福浩氏は特長と懸念点をそれぞれ独自の視点で、下記のような形で解説した。
U-17日本代表 監督…AFC U-17選手権優勝
FC東京 監督…ナビスコ杯優勝
ヴァンフォーレ甲府 監督…J2優勝
サンフレッチェ広島 監督…J1リーグ2位
東京ヴェルディ 監督…2022年〜現在