【小倉勉の選出】ドイツ代表&スペイン代表の注目選手は?「攻略に苦労する」

カタールW杯がまもなく開幕する。日本代表が配属されたグループEは、優勝候補のドイツ、スペインと同居する“死のグループ”と言われている。現在東京ヴェルディのヘッドコーチを務め、2010年に開催された南アフリカW杯でコーチとして帯同していた小倉勉氏が、ドイツとスペインの注目プレーヤーを挙げている。

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ドイツ代表の注目選手は守護神の3人

ドイツとはグループ初戦で対戦するが、小倉勉氏は単独指名ではなく、GKの3人を挙げている。

小倉 勉

ドイツで注目しているのは、GK勢。代表チームであのハイレベルなGKを3人揃えることができるのは、おそらくドイツ以外にないんじゃないだろうか。CLの出場クラブで言うと、バイエルン、バルセロナ、フランクフルトは、ドイツ人GKが正守護神を務めている。ノイアー、テア・シュテーゲン、トラップは、今世界で求められているGK像を体現できている3人と言える。

世界最高峰のオブラクは「ひと昔前のGK像」

アトレティコ・マドリードのスロベニア代表GKヤン・オブラクは現在、世界最高の守護神の1人として評価されている。一方で、アトレティコのスタイルではオブラクが最適と言えるが、GKにもビルドアップを求めるビッグクラブでのプレーは苦労する可能性があると指摘している。

小倉 勉

今サッカー界を代表するGKの1人であるオブラクは、セービング能力で言えば現在も世界トップクラスだが、ひと昔前のGK像なんだよね。ゴールマウスを守るという点では最高峰だけれど、例えば今後マンチェスター・シティやリバプール、バルセロナに移籍しても、評価を高めるのは正直難しいと思う。あれだけ素晴らしいGKであっても、近代サッカーにはGKのビルドアップ能力が不可欠になりつつある。

ドイツ代表は3人とも“攻撃的GK”としてトップレベル

モダンサッカーではGKが攻撃の起点となり、フィールドプレーヤー顔負けの正確無比なロングフィードで直接アシストを記録するプレーも、いまや珍しくはなくなった。守備だけでなく、攻撃も求められるポジションとなってきている中で、バイエルン・ミュンヘンGKマヌエル・ノイアー、バルセロナGKマルク=アンドレ・テア・シュテーゲン、フランクフルトGKケヴィン・トラップは3人とも“攻撃的GK”としてトップレベルにあると言及している。

小倉 勉

ノイアー、テア・シュテーゲン、トラップの3人は、いずれもビルドアップ能力に長けている。例えば大会中にノイアーにアクシデントがあっても、残りの2人がいれば、戦力ダウンにはならないと思う。それだけ、ドイツ人GKは足元の技術がしっかりしている。そして、CLという大舞台でミスを許されないプレッシャーや緊迫感に対する経験値を、3人とも充分に積んでいる。ドイツの対戦相手としては、GKの攻略にまず苦労することだろう。

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スペイン代表の注目選手はペドリ

スペインとはグループ最終戦で対戦するが、バルセロナの若き至宝MFペドリの名を挙げた。

小倉 勉

スペインの注目選手は、ペドリだね。若くして代表の主力になっているというのもあるし、イニエスタと同様、日本人の平均的な体格やフィジカルと近い中で、スペイン代表でもバルセロナでもレギュラーの座を掴んでいる。果たして、そこに何の違いがあるんだろうか?そこを深掘りすることが今の日本にとっては重要なのではないだろうか。

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若きペドリの強みは「大人のメンタリティー」

大会期間中に20歳の誕生日を迎えるペドリだが、その若さで五輪からEUROまで主力としてプレーしており、同世代と比べて圧倒的な大舞台の経験値を積んでいる。それがペドリの落ち着きあるメンタリティーにプラス材料となっていると見解を述べた。

小倉 勉

スキルの部分で秀でているのはもちろんだが、彼は大人のメンタリティーを備えている。昨年は18歳で五輪に出場し、そこからフル代表にも定着。EUROにも出場して、CLにも出場して、といったように、19歳ながら年間で合計70~80試合に出場している。10代ながら、もはやベテラン選手のような風格や落ち着きがあり、それはやはり積み上げた大舞台での経験値によるものが大きい。

日本サッカーは「ペドリをロールモデルにするべき」

ペドリは身長が174cmで体格も日本人に似ているが、ドリブルでは数人かけても奪われるおことなく、サッカーIQも高く視野も広いことからスルーパスも世界トップレベルにあり、まさしく元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタを彷彿とさせる。小倉勉氏は、フィジカルを武器にせずともワールドクラスに飛躍したペドリの事例を日本からも輩出できるような環境作りを意識するべきと訴えている。

小倉 勉

日本も、ペドリをロールモデルにするべきだと思う。体格にもフィジカルにも恵まれているわけではない、それでも世界最高峰のタレントになりつつあるペドリのような選手を、いかにして輩出できるのか。それはガビにも同じことが言えるね。日本人で言えば、最も彼らに似た立場にあるのが久保建英だろう。実年齢よりもメンタル、プレーともに大人びていて、臆せず躊躇のない姿勢を一貫できている。

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ドイツ代表&スペイン代表の注目選手のまとめ

日本代表はカタールW杯でドイツ、スペインという強豪国との対戦を控えている中、小倉勉氏は注目選手として、ドイツからノイアー、テア・シュテーゲン、トラップのGK勢。スペインからはペドリを挙げた。ドイツは3人ともビルドアップに長けた“攻撃的GK”であり、攻略の難しい存在であると指摘。スペインは若き司令塔のペドリに期待を寄せたうえで、「日本のロールモデルにすべき」とも提言した。

当記事のインタビュイー

小倉勉のプロフィール

U-17日本代表 ヘッドコーチ… AFC U-17選手権優勝

日本代表 コーチ… 南アフリカW杯ベスト16

U-23日本代表 ヘッドコーチ…ロンドン五輪ベスト4

大宮アルディージャ 監督…J1残留

ヴァンフォーレ甲府 ヘッドコーチ…J2優勝

横浜F・マリノス SD…2017年〜2022年

東京ヴェルディ ヘッドコーチ…2022年〜現在

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ジョータツ

「Off The Ball」編集長。 大手サッカー専門メディアに過去6年配属。 在籍時は、高校サッカー・J1リーグを主に担当。 「DAZN」企画でドイツ・スペインへの長期出張で現地取材を経験。 人生の転機は、フェルナンド・トーレスの引退会見で直接交わした質疑応答。 趣味はサウナ。