エクアドル代表MFモイセス・カイセドはブライトンで才能を開花させ、2023年夏にイングランド史上最高額となる総額1億1500万ポンド(約212億円)でチェルシーへと移籍した。多くのビッグクラブから注目されていたカイセドについて、プレースタイルやキャリア等を紹介していく。
生年月日 | 2001年11月2日 |
国籍 | エクアドル |
所属クラブ | チェルシーFC |
ポジション | MF |
身長 | 178cm |
利き足 | 右足 |
経歴 | インデペンディエンテ・デル・バジェ→ブライトン→KベールスホットVA (loan)→ブライトン→チェルシー |
カイセドは主に、守備的ミッドフィルダーとしてピッチで躍動する。守備では積極的にプレスをして、ファウルを貰わないクリーンなタックルでボールを奪う力がある。またインターセプトも得意としている。エクアドル時代には後ろを考えずただプレスをして、結局スペースを与えてしまうという評価もあったが、ここ数年で飛躍的な成長を見せており、チームとしての守備も全うすることができるようになっている。またオフ・ザ・ボールでは攻守両面でスペースへ移動して効果的に相手を困らせる事が出来る。
そして、カイセドは攻撃の組み立てにも積極的な参加する。よく最終ラインまで降りてパスを貰い、攻撃を前方向に転じさせようとスペースを探す。こうして見つけたパスコースに、たとえそれが狭くとも正確なパスを供給する。このように、基本的に攻撃の起点となる事が多いため得点チャンスは少ないが、カイセドはロングシュートにも定評がある。
これらのスタイルから、「エクアドルのカンテ」と例えられることもあるカイセドは、プレミアリーグや南米の代表相手にも高いレベルのプレーを続け、活躍している。
2022年5月、カイセドがマンチェスター・ユナイテッド戦で記録した先制点
PA内からのセカンドボールを受け取ったカイセドは素早く切り返してゴールの方向を向き、低く抑えたシュートを放つ。マクトミネイとリンデロフの二人の股を通り、デ・ヘアも届かない隅へミドルシュートを決めた。
2014年にエクアドルのインデペンディエンテ・デル・バジェのユースチームに加入したカイセドは、2019年にトップへ昇格。同年10月1日にデビューを果たすと、2020年シーズンからレギュラーに定着する。南米の大陸大会でも活躍した彼は国内で有望株として注目されるようになり、2020年10月から始まったカタールW杯南米予選でエクアドル代表に初招集。第1節のアルゼンチン戦で早速先発デビューする。第2節のウルグアイ戦では得点を決め、翌月の予選2試合でも3アシストを記録。この活躍が欧州チームの目にとまり、マンチェスター・ユナイテッドやACミラン等が獲得オファーを打診したと報道されている。
この移籍報道は翌年の2月1日、ブライトンの獲得で終結。カイセドはプレミアリーグで上昇気流に乗るチームと4年半の契約を結んだ。迎えた2021-22シーズン、ベルギーのベールスホットへレンタル移籍。武者修行に赴くことになった。ベルギーではチームの戦績こそ良くなかったものの、ヘンク相手に得点を決めるなど着実に成長を続けた。本来の契約は1年間のレンタルであったが、ブライトンのMF層が薄くなったため半年でイングランドへ帰還した。
帰還してからはベンチ入りを続けていたが、2月のFAカップで遂にブライトンでの初出場を果たす。4月にはアーセナル戦でプレミアデビューすると、決勝点となる2点目のアシストを記録した。その後は先発メンバーに名を連ねるようになり、5月のマンチェスター・ユナイテッド戦ではプレミア初得点を記録した。
2023年8月14日にイングランド・プレミアリーグ史上最高額となる総額1億1500万ポンド(約212億円)でチェルシーへと移籍した。
ブライトン移籍時の移籍金は450万ポンドであったが、すでにカイセドの市場価値は10倍以上まで高騰している。ブライトンを指揮していたポッター監督を引き抜いたチェルシーを始め、マンチェスター・ユナイテッドなど名だたるクラブが注目している中、ブライトンも給料が6倍以上になるともいわれる“移籍阻止”の契約更新を結ぶ予定があり、次の冬の移籍市場では攻防戦が繰り広げられそうだ。その中、当のカイセドは「他のクラブの移籍は考えていない」とコメント。直近でビッグクラブが引き抜くには、かなりの労力がかかりそうだ。
3年前まで無名だったカイセドは、瞬く間にサッカー界で名を馳せる存在となり、いまやプレミアリーグでもトップクラスの中盤選手にまで飛躍を遂げている。「エクアドルのカンテ」と評価されるダイナモは、そのカンテが所属していたチェルシーへとステップアップし、今後の活躍が最も期待される選手の一人となっている。