次世代のサッカー界を牽引するストライカーの1人として注目を集めているダルウィン・ヌニェス。爆発的なスピードと打点の高いヘディングで得点を量産し、リバプールがクラブレコードを更新する総額1億ユーロ(約141億4000万円)という巨額を投じて獲得に至った。新エースとして期待されるダルウィン・ヌニェスは果たしてどのような選手なのだろうか?プレースタイルやキャリアを本記事で紹介する。
生年月日 | 1999年6月24日 |
国籍 | ウルグアイ |
所属クラブ | リバプール |
ポジション | FW |
身長 | 187cm |
利き足 | 右足 |
経歴 | CAペニャロール→UDアルメリア→SLベンフィカ→リバプール |
初速力、加速力ともにトップクラスにあり、ボックス内で徹底的に仕事をするクラシカルなストライカー。爆発力のある裏への抜け出しを武器としており、UEFAチャンピオンズリーグの舞台でもバルセロナ、バイエルン・ミュンヘン、リバプールといったビッグクラブを相手に得点を奪っている。また、シュートへの意識が人一倍強く、同胞の先輩にあたるウルグアイ代表FWルイス・スアレスの影響を強く受けていることが窺える。一方で、プレースタイルは同FWエディンソン・カバーニに似通っており、相手守備陣をかいくぐる動き出しと打点の高いヘディングで得点を量産している。際立っているのはスペースへの認識力だ。自分の走り込むためのスペースの確保や駆け引きに長けており、味方のスルーパスに対して絶妙なタイミングで受けるスキルは現時点でも世界トップクラスと言える。また、左ウイングとしての適性もあるため、その場合はスピードに乗った縦への突破で違いを生み出すことができる。
一方、スピードを活かしたプレーで勝負するが故に、膝の負傷が慢性化している節がある。プレミアリーグという最もフィジカルを酷使する舞台でシーズン通して負傷離脱なく過ごすことができるかどうかは未知数である。
2021-22シーズンのCLベスト8で、移籍先となったリバプールと対戦したが、2戦とも試合内容で圧倒される展開に。ベンフィカは高い位置でボールを奪われ続けていたため、ほとんどダルウィン・ヌニェスにボールが回ってこず、前線で孤立してしまう場面が目立っていたが、相手守備陣のミスや、隙を突いたカウンターの機を逃さず、両試合でワンチャンスを確実に物にする決定力を誇示。結果的に、それを肉眼で見届けていたユルゲン・クロップ監督の目に留まることになり、リバプール移籍が実現する運びとなった。
ユース時代を母国のCAペニャロールで過ごしたが、度重なる負傷に苦しんでいた。2017年にトップチーム昇格を果たすが、デビュー直後に膝の負傷で6ヶ月もの長期離脱を強いられることになる。それでも、長きにわたるリハビリ生活を経て復帰。即座に主力の座を勝ち取り、2019年にはスペイン2部のUDアルメリアに移籍すると、加入初年度で16得点を奪い、得点力を開花させる。翌年にはポルトガル名門のベンフィカに引き抜かれることに。1年目となった昨季は6ゴール10アシストと引き立て役の色が強かったが、2年目となる今季は絶対的なエースストライカーとして君臨。26ゴール4アシストで得点王に輝き、その名を世界に轟かせた。また、同年のCLでも6ゴールをマークし、ベンフィカのベスト8進出に貢献。準優勝のリバプール相手にも計2ゴールを奪ったことがきっかけで、クラブレコードとなる約141億円でリバプール加入を果たした。
数多くのビッグクラブが獲得に乗り出す中で、マンチェスター・ユナイテッドが破格のオファーを提示し、クラブ間合意に迫っていたが、ダルウィン・ヌニェス自身はCLベスト8で対戦したリバプールの本拠地アンフィールドの雰囲気に感銘を受け、「リバプールへ移籍したい」と口にしていたと現地メディアで報じられている。リバプールは当初こそ巨額の投資に前向きではなかったが、エースのセネガル代表FWサディオ・マネの退団が決定的となったため、後釜確保の急務に迫られたことでクラブ歴代最高額の移籍金でダルウィン・ヌニェス獲得に踏み切ることになった。
ダルウィン・ヌニェスは普段は温厚な性格として知られているが、ピッチ内では激情型であり、2022-23シーズンのプレミアリーグ第2節クリスタル・パレス戦では、相手DFの度重なる挑発に堪え切れず、ヘッドバッドを喰らわせてしまい、本拠地アンフィールドの開幕戦で一発レッドカードの退場を命じられることになった。
ベンフィカで得点を量産し、世界各国のビッグクラブから関心を寄せられるスーパースター候補にまで飛躍を遂げたダルウィン・ヌニェスは、アンフィールドの雰囲気に魅了され、リバプールへの移籍を決断した。プレースタイルは、徹底的にボックス内で仕事を遂行し、シュート意識が極めて高いクラシカルなストライカーと言える。クロップ体制のリバプールは、ブラジル代表FWロベルト・フィルミーノやマネが務めてきたように、最前線で偽9番のタスクを常に要求してきていたが、典型的な9番タイプであるダルウィン・ヌニェスが加入したことで、チームのコンセプトにも変化が伴うことになるかもしれない。