【動画付き】MFカルヴィン・フィリップス プレースタイルと人物像【ウェストハム/イングランド】

「ヨークシャーのピルロ」のニックネームを持ち、視野が広く、持ち前の高いキックテクニックと素早いボール奪取能力を持つディフェンスで、所属するリーズにおいて欠かせない存在となり、プレミアリーグ残留に大きく貢献しているイングランド代表MFカルヴィン・フィリップス。2022年夏にマンチェスター・シティへの移籍を果たしたが、2024年1月にウェストハムへとローン移籍。そんなカルヴィン・フィリップスのプレースタイルやスーパープレー、これまでのキャリア等をこの記事では紹介していく。

カルヴィン・フィリップスの基本プロフィール

生年月日1995年12月2日
国籍イングランド
所属クラブウェストハム・ユナイテッド(loan)
ポジションMF
身長177cm
利き足右足
経歴リーズ・ユナイテッドFC→マンチェスター・シティFC→ウェストハム・ユナイテッド(loan)

カルヴィン・フィリップスのプレースタイル

カルヴィン・フィリップスのプレーエリア【引用:SofaScore

中盤のアンカーやダブルボランチの一角をメインポジションとしており、中盤の低い位置からのゲームの組み立てと、相手の攻撃の芽を摘み取るボール奪取をメインタスクとしている守備的MF。

まず第一に挙げられる特徴はその正確なロングパス能力である。ボールを持つとまずルックアップにて味方の前線の選手の動き出しを確認し、その動き出しに合わせて精密なロングフィードを配給していく。リーズではプレースキッカーも務めており、直接FKでゴールを決めるスキルもある。そのプレースタイルから付けられたニックネームは「ヨークシャーのピルロ」である。ACミランやユベントスで活躍した稀代のゲームメイカーである元イタリア代表MFアンドレア・ピルロと例えられるほど、視野の広さとキックテクニックを持っている。

だが、カルヴィン・フィリップスが長けているスキルはロングパスだけではない。第二の特徴として、素早い出足でのタックルやインターセプトで相手の攻撃のフィルター役を担うディフェンス能力も持つ。高いスタミナと球際の強さを活かしてボール奪取し、そこから第一の特徴であるロングパスでカウンターの起点となることも出来るのである。この守備貢献能力は、リバプール所属のイングランド代表MFジョーダン・ヘンダーソンに例えられることもある。

カルヴィン・フィリップスのプレースタイルはピルロを彷彿させるテクニックとヘンダーソンの象徴的な守備貢献のハイブリッドであると言え、プレミアリーグに求められる資質を備えたモダンな中盤選手と言えるだろう。

カルヴィン・フィリップスのスーパープレー

所属するリーズで決めたゴール集。リーズの元監督であるマルセロ・ビエルサの采配によって現在の中盤の底のポジションでの出場が増えたが、それまでは今より前線に絡む8番や10番のポジションでもプレーしていた。チームではプレースキッカーも務めており、直接FKを決める能力も持っている。

中盤の底のポジションから正確なロングパスで前線にポールを配給していくカルヴィン・フィリップス。前述のプレースタイル欄でも書いたが、その動きはまさにこの動画のタイトルにもなっている「ヨークシャーのピルロ」と言ってもいいだろう。それに加えてディフェンス面の能力も高く、自陣の危険なエリアでは素早いタックルを仕掛けて相手のボールホルダーからボールを奪取する能力も持つ。

カルヴィン・フィリップスのキャリア

イングランドのリーズ出身のカルヴィン・フィリップスは、これまでのキャリアにおいて、リーズ一筋の選手である。2010年にリーズの下部組織に入団すると、U18カテゴリーのキャプテンを任されるまで実力を付け、2014-15シーズンからトップチームに昇格を果たす。2016-17シーズンからレギュラーとして定位置を確保し、それ以降はレギュラーから外れることなく試合に出場している。2018-19シーズンにはイングランド2部のチャンピオンシップに42試合出場し、年間ベストイレブンに選出されるまでに成長した。この活躍により、カルヴィン・フィリップスの名がイングランドで注目されるようになる。この頃から、リバプールを始めとしたビッグクラブへの移籍の噂が出始めたが、翌年の2019-20シーズンはリーズに残留。37試合に出場し、2年連続となる年間ベストイレブンに選出され、チームのチャンピオンシップ優勝とプレミアリーグ昇格に貢献した。プレミアリーグに昇格したシーズンからも常にチームの中心選手としてレギュラーポジションを維持している。

2部リーグではあるがチャンピオンシップでベストイレブンに選ばれた活躍が認められ、2020年8月にUEFAネーションズリーグに臨むイングランドのA代表に初招集され、9月8日のデンマーク戦で初出場を果たした。そして、2021年夏に行われたUEFA EURO 2020では、ウエストハム・ユナイテッド所属MFデクラン・ライスとダブルボランチでコンビを組み、レギュラーとして全試合に出場。チームの準優勝に貢献した。

2022年夏にマンチェスター・シティへと完全移籍。これまで元ベルギー代表DFヴァンサン・コンパニを筆頭にクラブのレジェンドが着用してきた背番号「4」を託されることになった。しかし、主力のスペイン代表MFロドリからの定位置を奪うことができず、出場機会に恵まれてない日々が続くと、2024年1月にウェストハムへのローン移籍を決断した。

カルヴィン・フィリップスのエピソード

生まれ故郷のクラブであるリーズ一筋のカルヴィン・フィリップス。ユース時代から長年このクラブで過ごし、現在プレミアリーグを戦うチームにとって、残留のためには無くてはならない存在となっている。だが、イングランド代表でもレギュラーを任されるまで成長し、高い能力を持った彼に、ビッグクラブが黙っているはずもなく、これまでにリバプールやマンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティや、近年豊富な資金を手に入れたニューカッスルといったプレミアクラブからの関心の噂が絶えない状況となっていた。

この状況に対し、2022年5月に地元のラジオ局のインタビューに答えたカルヴィン・フィリップスは、「やりたいことを明確に、自分の意思をはっきりとさせた。僕はリーズにいたいし、契約が終わるまではここでのプレーに集中するつもりだよ。あまり心配はしていない」、「イングランド代表選手であり、国内最大のチームの一つでプレーしている以上、雑音は常に聞こえてくるものなんだ。シーズンが終わるまで、僕はリーズで幸せでいれるだろうと思うし、これからもそうだろう」と、最終的にはシティへ移籍することになったが、リーズへの愛情を強く示すことが多かった。

カルヴィン・フィリップスのまとめ

視野の広さを活かした正確なロングパス、FK、CKといった高いキックテクニックと、素早い出足とフィジカルを活かしたボール奪取が出来るディフェンスを兼ね備えた現代型ハイブリッドMFカルヴィン・フィリップス。プレミアリーグでの活躍からイングランド代表では一時期レギュラーに選ばれるなど近年躍進した選手のひとりである。シティでは挫折を味わったフィリップスは、ウェストハムでどのような再起を示すのか。注目して見ていくべき選手であることは間違いない。

Tate Masa

ユルゲン・クロップ監督率いる当時のドルトムントがきっかけでサッカー好きに。 試合をシステムの観点から分析するのを得意としている。 好きなサッカー選手は、チアゴ・アルカンタラ。 趣味はゴルフ・釣り・サウナ・野球観戦と多彩。