ジェームズ・ミルナーは、全ての選手のお手本となるようなプロフェッショナルな姿勢で、模範的な存在として知られる。リバプール時代にはクロップ監督からは「これまで指導してきた中でも、間違いなく5本の指に入る選手」と最高級の評価を受けている。
キャリアの晩年に、ブライトンへの移籍を決断したミルナーのプレースタイルやキャリアを紹介。また、ピッチ外で見せるお茶目でシュールな一面も…?
生年月日 | 1986年1月4日 |
国籍 | イングランド |
所属クラブ | ブライトン&ホーヴ・アルビオン |
ポジション | MF |
身長 | 175cm |
利き足 | 右足 |
経歴 | リーズ・ユナイテッド→スウィンドン・タウン(loan)→ニューカッスル・ユナイテッド →アストン・ヴィラ(loan)→アストン・ヴィラ→マンチェスター・シティ→リバプール→ブライトン&ホーヴ・アルビオン |
年齢を重ねても衰えることを知らない無尽蔵のスタミナを備え、トップ下・両ウイング・サイドハーフ・インサイドハーフ・両サイドバックなど多数のポジションで遜色ないパフォーマンスを発揮できるユーティリティープレーヤーとして知られる。そのポリバレントな能力から、前所属のマンチェスター・シティではサイド起用が多かったが、主戦場はインサイドハーフと自負しており、リバプールでは自身の望むポジションで存在感を放っている。一方、主力SBに負傷者が出た緊急時には代役を担っており、依然としてトップレベルの実力を示している。
また、プレースキックも得意としている。近年はエジプト代表FWモハメド・サラーがPKキッカーを務めているが、リバプールで長きに渡りPK職人として抜群の成功率を誇っていた。キック精度も高く、プレミアリーグ歴代アシスト数でも7位にランクイン(2022年現在)しており、6位に位置するクラブの英雄スティーブン・ジェラードの記録が目前に迫っており、“レジェンド超え”も現実味を帯びている。2017-18シーズンには、UEFAチャンピオンズリーグにおいて、1シーズンでのアシスト数の新記録を樹立している。
リバプールでは副将を任されており、主将のイングランド代表MFジョーダン・ヘンダーソンとともに、チームの規律を体現する手本として、クロップ監督からも全幅の信頼を寄せられている。プレミアリーグ出場数は500試合を超えており、豊富な経験値を存分に活かして、選手とスタッフを繋ぐ“”ピッチ上のコーチ”のような役割も担っている。
2015-16シーズンのUEFAヨーロッパリーグ準々決勝ドルトムント戦(4-3)は、リバプールファンにとって最も語り継がれる試合の1つに数えられるが、世紀の大逆転劇の立役者となったのがミルナーだ。1-3で迎えた後半21分、敵陣ゴール前のワンツーからブラジル代表MFフィリペ・コウチーニョ(現アストン・ヴィラ)のゴールをアシストすると、3-3で迎えた後半アディショナルタイムには、右サイドのクロスからクロアチア代表DFデヤン・ロブレンの劇的決勝弾をお膳立てした。
また、攻撃面だけではなく、守備面でもミルナーの持ち味が光るワンシーンがある。プレミア優勝を達成した2019-2020シーズン第29節ボーンマス戦(2-1)では、後半16分に相手のシュートが無人のゴールへ向かう最大のピンチを迎えたが、全速力で戻ったミルナーが体を投げ出しながらのクリアでチームを救った。該当シーンの動画は570万回の再生回数を記録し、大反響を呼んだ。
【引用:リバプール公式Twitter】
2002年にリーズでプロデビューを果たしたミルナーは、16歳357日で初ゴールを記録し、当時元イングランド代表FWウェイン・ルーニーが保持していたプレミアリーグ最年少得点記録を更新した。2009-10シーズンには、アストン・ヴィラでリーグ戦7ゴール12アシストを記録し、最優秀若手賞とベストイレブンに選出。シティではマルチプレーヤーとしての才能を開花させ、サイドバックからセンターFWまで、あらゆるポジションで起用された。
2015-16シーズン、シティから豊潤な新契約オファーを提示されていた中、フリートランスファーでリバプールに加入。移籍の理由は、自身が希望するセントラルMFとしての出場機会を求めていたこと、そして、当時イングランドで覇権を握っていたシティよりもリバプールの方がCL優勝の可能性が高そうであるというミルナーの直感によるものだったという。そして2018-19シーズン、実際にリバプールでCL優勝を達成することになった。
2023年6月、フリートランスファーでブライトンに加入した。
シーズン開幕前のキャンプで実施される走行テストにおいて、ミルナーは若手選手を差し置き、毎年のようにトップに君臨している。また、休日にも関わらず、ユースチームの試合を視察するために現地へ足を運んでいる姿が多々目撃されている。そんなミルナーに対しクロップ監督は「ミリーはこれまで指導してきた中でも、間違いなく5本の指に入る選手であり、完璧なるプロフェッショナルだ」と惜しみない賛辞を送っている。
一方、新型コロナウイルスの感染拡大によりシーズンが中断されていた際、暇を持て余したミルナーは、紅茶のティーバッグを1つずつ仕分ける作業や、広々とした公園で定規を使った芝刈り、子供たちのための鉛筆削り、庭にばら撒かれている小石の手入れなど、シュールな動画をInstagramに投稿し続け、話題を呼んでいた。
プロフェッショナルを体現したような存在であるミルナー。“縁の下の力持ち”として、これまで在籍したクラブで精神的支柱の役割を担ってきた中、キャリアの晩年にブライトンでの挑戦を決断した。百戦錬磨のベテランとの共闘は、チームメートとなった日本代表MF三笘薫にとっても間違いなく好材料となるだろう。