ジェームズ・マディソンはプレミアリーグでゴールとアシストを量産している司令塔だ。トッテナムへと活躍の場を移したが、マディソンはどのようなプレースタイルで、どういった人物なのか?本記事で掘り下げていく。
生年月日 | 1996年11月23日 |
国籍 | イングランド |
所属クラブ | トッテナム・ホットスパー |
ポジション | MF |
身長 | 175cm |
利き足 | 右足 |
経歴 | コヴェントリー・シティFC→ノリッジ・シティFC→コヴェントリー・シティFC(loan)→アバディーンFC(loan)→レスター・シティFC→トッテナム・ホットスパー |
マディソンのプレースタイルとしては、トップ下が主戦場にはなるが、2トップの一角のようなポジショニングで1.5列目も担うなど、よりアタッカー色の強い司令塔である。
マディソンの強みは高いキック精度とパスセンスにある。レスターではプレースキッカーを任されており、直接FKはプレミアリーグで合計6得点をあげている。また周囲を冷静に観察し、スペースに走り込んだ味方へ高い精度でラストパスを送り込める。実際にレスターへ移籍してプレミアデビューとなった18-19シーズン、チャンスクリエイト数はリーグ6位タイとなる13を記録した。レスターが求めていた「ジェイミー・ヴァーディの相棒」の役割を、移籍直後から見事に達成してみせたのである。(この結果、それまで相棒の座を死守していた岡崎慎司はその位置を奪われ、出場機会を失うこととなる。)
味方を活かすだけでなく、相手がパスを警戒してミドルレンジの守備を疎かにすれば、ゴール隅を狙うGKノーチャンスの高精度なミドルシュートが飛ぶ。また自らもゴール前のスペースへ飛び込みゴールを狙う。相手守備からしたら厄介なことこの上ないプレイヤーである。
さらに当たり負けしないフィジカルも持ち味であり、これを活かした高いキープ力で攻撃のタメも作れ、まさに攻撃に欠かせない選手といえよう。今でも素晴らしい選手だが、年々能力は上昇しており、さらなる成長が楽しみな選手である。
2020-21シーズン第3節、アウェイでのマンチェスター・シティ戦(5-2で勝利)では、サイドでボールを受けると空いていたピッチ中央へ侵入し、ミドルレンジから右足一閃。エデルソンも届かないコースへシュートを突き刺した。マディソンの攻撃スキルの高さを証明するゴラッソであった。
このゴールは2020年9月のプレミアリーグ月間ベストゴールに選ばれている。
マディソンは地元クラブであるコヴェントリーの下部組織で育ち、2014年のカップ戦で17歳の若さながら、トップチームデビューを果たす。さらに同年10月のリーグ戦では直接FKでプロ初ゴールを決めた。
2016年2月には当時プレミアリーグのノリッジに移籍した(ローン移籍の形で15-16シーズンはコヴェントリーでプレー)。翌季はスコットランドのアバディーンに12月までのローン移籍をして14試合2得点の結果を残した。17-18シーズンは2部で戦うノリッジのレギュラーになり、44試合14得点8アシストの活躍を見せ、リーグ年間ベストイレブンに選出された。
この活躍が認められ、プレミアリーグのレスターへ日本円にして約30億円の移籍金で移籍。開幕戦で早速先発出場し、第2節でプレミアリーグ初得点をあげた。その後も活躍を続けてレスターの攻撃の要となり、デビューシーズンで7得点7アシストという数字を残した。
イングランド代表では世代別から選出され、U21代表では9試合に出場、1得点をあげている。プレースタイルから「ベッカム2世」とも呼ばれ、A代表での活躍が期待されていたが、同じポジションにはサンチョやグリーリッシュと有力な選手が多く、2019年のユーロ予選で1試合交代出場したのみ。カタールW杯にはサプライズ枠で招集されたが、出番はほとんど訪れなかった。
レスターで孤軍奮闘のパフォーマンスを披露していたが、マディソンの働きは実らずチームは2022-23シーズンに降格。それに伴い、2023年6月に4000万ポンド(約73億円)でトッテナムへと移籍した。
その活躍によって毎年移籍ニュースに名前が載るマディソンだが、2021年7月末に行われたフレンドリーマッチのQPR戦でベンチ外に。ついに移籍かとレスターサポーターは震えたが、翌日「第一子の出産に立ち会うためだった」と監督がコメント。後日彼のSNSには、生まれたばかりの息子を愛しそうに抱きかかえている「父」マディソンの姿がアップされた。
「ミラクル・レスター」以降、中堅以上のクラブとなったレスターでエースナンバーの10番を背負い、己のパスやシュート、ボールキープで攻撃の要となってきたマディソン。ビッグ6の一角であるトッテナムでは、さらなる飛躍が期待できる。今後の成長とキャリア、そしてイングランド代表への定着。将来が非常に楽しみである。