ドイツ代表MFジャマル・ムシアラは19歳ながらドイツの強豪FCバイエルン・ミュンヘンのトップチームで活躍しており、多くの注目を集める若きプレーヤーだ。10代という若さでバイエルンとドイツ代表の主力に定着し、巷では”ネクスト・サンチョ”とも評される逸材であるのだが、本記事ではそんな彼のプレースタイルやキャリアを紹介していく。
ムシアラの基本プロフィール
生年月日 | 2003年2月26日 |
国籍 | ドイツ(イングランド、ナイジェリア) |
所属クラブ | FCバイエルン・ミュンヘン |
ポジション | FW/MF |
身長 | 184cm |
利き足 | 右足 |
経歴 | FCバイエルン・ミュンヘンⅡ→FCバイエルン・ミュンヘン |
ムシアラのプレースタイル
ムシアラは今までトップ下や左のウィング、セントラルミッドフィルダーのポジションでプレーしてきており、MFとFWのどちらでもプレーが可能な攻撃面に優れた選手である。
そんな若きドイツ人アタッカーの強みは何といってもテクニカルなドリブルである。足元の技術が非常に高く、複数の相手に囲まれていたとしても繊細なタッチとスピードで相手をかわしてボールを運ぶことができる。そしてペナルティエリア内に侵入した際にはシュートとパス両方の選択肢を持っており、クレバーな一面も兼ね備えている。またポジショニングに関してもかなり良く、常に味方や相手の動き出しを考えながら適切なポジションを探っており、その結果いい位置でボールを受けることができている。
彼の武器としてはドリブル以外にも豪快かつ繊細なフィニッシュも忘れてはいけない。現在19歳ながらブンデスリーガ63試合出場で15ゴール挙げている。トップチーム昇格当初は途中出場が多かったことを考慮すると、当初からフィニッシュの精度の高さを評価されていたことが窺える。
フィジカル面において体の線の細さは少々気になるところだが、19歳という年齢を考えればかなり完成度が高く、すでに世界トップクラスのバイエルンで主力の座を勝ち取っていることからも、次世代のスーパースターとしてサッカー界を牽引する存在になるだろう。
ムシアラのスーパープレー
こちらはブンデスリーガの公式で出された21-22シーズンまでムシアラがリーグ戦で決めてきたゴールをまとめた動画。ムシアラの特徴でもあるペナルティエリア内でのテクニカルなドリブルや繊細なフィニッシュを確認することができる。特に1ゴール目は当時17歳とは思えない貫禄があり、能力の高さを感じるゴールだ。
ムシアラのキャリア
ムシアラは2003年2月26日にナイジェリア人の父とドイツ人の母との間に生まれた。2歳の時に自身が生まれたシュトゥットガルトからフルダへ移住する。移住先であるフルダの地元クラブTSVレーナーツの下部組織に入団し、そこでサッカーを始める。
そして7歳の時、家族とともにイギリスへ引っ越す。はじめはサウサンプトンFCの下部組織に入団するが、人並み外れた才能をもつムシアラの噂はしだいにイギリス国内のチームに広がり、様々なオファーが届くようになる。その中にはロンドンの強豪チェルシーからのオファーもあり、サウサンプトンをわずか4カ月で退団し活躍の場をチェルシーの下部組織へと移す。そこでも主力として活躍し、年代別のイングランド代表に選出されるなど順調に成長の一途をたどっていく。
2018年5月に当時15歳ながらチェルシーU-18でデビューし、若手有望株と注目されチェルシーとの長期契約も噂されたが、2019年7月少年時代からのお気に入りのチームでもあったバイエルン・ミュンヘンへの移籍が決まる。バイエルンへ移籍したムシアラははじめはU-17のチームでプレーしたものの、自身の実力を見事に発揮しU-19へと昇格する。その後も彼の勢いはとどまることなく、2020年6月にバイエルンのBチームでデビューを果たし、さらには2020年6月20日フライブルク戦にて加入して1年足らずでトップチームデビューも果たした。この時の彼の年齢は17歳115日で当時のクラブの最年少出場記録であった。
加入1年目からインパクトを残して迎えた20-21シーズンの開幕戦のシャルケ04戦では17歳205日という若さでブンデスリーガ初ゴールを決めた。理想的なシーズンのスタートをきることができたこの年は公式戦37試合に出場し7ゴール1アシストをマークした。この活躍も影響し、2021年3月5日にバイエルンと正式にプロ契約を交わした。
そして21-22シーズンにおいても好調を維持しており、40試合に出場し8ゴール6アシストと結果を残し、10代ながらバイエルンのレギュラーに定着してみせた。
A代表に関しては2021年2月24日、イングランドとドイツの国籍を持つムシアラはドイツ代表でプレーすることを表明した。そして2021年3月25日のアイスランド戦でドイツ代表デビューを果たし、これまで15試合に出場している。
ムシアラのエピソード
ナイジェリア人の父とドイツ人の母との間に生まれたムシアラ。彼の父はドイツに住む前は母国ナイジェリアでプレーしていた経験を持つ。そのためかなり熱狂的に息子をサポートしており、フルダのクラブに居たときにはライン際で行ったり来たりしてムシアラを追いかけて応援し、試合終了時にはムシアラよりも汗をかいていたというエピソードまである。
子供の頃のムシアラはサッカー以外のことにも意欲的で小学生の時はチェスを習っていたり、韓国武道の1つハプキドーの教室にも参加していた。もしかしたら彼の身体能力やサッカーIQの高さはこのようなサッカー以外の経験も大きく影響しているのかもしれない。
ムシアラのまとめ
幼少期からドイツとイングランドで自身の才能を発揮し、驚異的なペースで成長しステップアップをしてきたジャマル・ムシアラ。バイエルンでは昇格当初は途中出場が多かったが、自身のテクニカルなドリブルと精度の高いフィニッシュを武器に活躍の場をどんどん増やしてきている。11月に行われるW杯では日本と対戦するドイツ代表に選出された。今後も彼の活躍からは目が離せない。