2004年生まれのガビは、まだ10代ながら名門バルセロナ、そして、スペイン代表で確固たる地位を築いている。相棒のペドリとともに、「シャビとイニエスタの正統後継者」と謳われている神童について、プレースタイルと、日常のエピソードも合わせて紹介していく。
生年月日 | 2004年8月5日 |
国籍 | スペイン |
所属クラブ | FCバルセロナ |
ポジション | MF |
身長 | 173cm |
利き足 | 右足 |
経歴 | FCバルセロナ |
中盤で起用されるガビは、攻撃と守備のどちらにも大きな貢献をすることができる。彼が持っている「予測力」と「闘争心」、そして「何でもこなせる能力」によるものが大きい。
まず予測力だが、これはポジショニングと言い換えることもできる。ガビは周りを見渡してスペースや相手のマークに引っかからないパスコースを見つけ、プレスを難なく躱していく。またディフェンスでも一切サボらないどころか最後まで諦めずにピッチ全体でハードワークして、相手の大チャンスになりそうな局面でもゴール前まで戻りチームを救う守備を見せる。
そしてガビは、「MFの役割」のほとんどをこなすことができる。シャビやイニエスタにも例えられがちな彼だが、状況に応じてドリブルで相手を躱して自らチャンスを創出したり、逆に一本のパスで最終ラインを破ることもできる。ガビはいわゆる「8番」のプレー以外でも最高峰の品質をもっている。また球際の強さやテクニックも備わっており、安易なプレッシャーをかわすのは朝飯前、複数人で囲んでもガビは突破してしまう。
相棒のペドリとともに、ガビは10代で世界的名門のバルセロナで主力に定着する存在感を示しているが、地元メディアでも「シャビとイニエスタの再来」と紹介されており、バルセロナを次なる黄金期へと導くのは、間違いなくペドリとガビによる“新世代コンビ”だろう。
自分よりも何歳も年上の選手に怖気づく素振りは一切見せず、何が何でも、どんな相手でもボールを前に運んでみせるという意志こそガビの真骨頂であり、最も優れた武器と言えるかもしれない。その姿は、まさしく若き頃のシャビやイニエスタと重なる。
また、W杯予選のスウェーデン戦でみせたボールキープをUEFA公式が紹介している。
前線でボール奪取を狙う相手に2度のタックルをされても躱し、確実にマイボールにする。チームにとってこんなにも助かるプレーはないだろう。
地元のクラブチームからサッカーを始めたガビは、2013年にベティスのカンテラ、そして2015年にバルセロナのユースチームに移籍する。その後順調にバルセロナのユースからBチームへと昇格を重ねたガビは2021-22シーズン、トップチームでのプレシーズンマッチでシャビと比較されるほどの活躍を見せた。その結果8月29日の第3節、17歳の時にトップチームデビューを果たした。
この時、年代別代表には呼ばれていたガビだったが、2021年10月に開催されたネーションズリーグ決勝トーナメントで、フル代表にサプライズ招集された。エンリケ監督は「呼ぶのは早すぎたかもしれない」とインタビューで話していたが、代表史上最年少記録となる17歳62日で準決勝に先発出場で抜擢されデビューする。更にこの試合でイタリアやスペインの名選手に劣らないどころか上回る大活躍をみせ、一気に世界中の注目を浴びた。またもや先発した決勝ではフランスに敗れてしまったが、「ガビ」の名は「MF大国が生んだ新たな天才」として知られることとなった。
バルセロナの財政難による生え抜き選手の重視、またスペイン代表エンリケ監督の刷新思考や他MFのコンディション考慮といった「運」の要素で出場機会を得られた面もあるが、ガビはその機会を一つたりとも逃さず、自らの才能を証明してみせた。
2022年6月5日にはネーションズリーグでファティの記録を7日更新する17歳62日で代表史上最年少記録となる得点をあげた。
また、バルセロナと2026年までの新契約を結び、違約金は約1400億円と規格外の金額となっている。
サッカーで魅せる輝かしいプレーとは違い、彼の普段のエピソードには、なかなかに癖のある話題が転がっている。身分証明書は5度紛失、服も散らかり放題でチームメイトの服を着ているのはいつものこと。スパイクをチームバスに置き忘れるのも彼の些細な日常風景に過ぎない。また靴紐がほどけいても気にしないためか、靴紐の結び方もガビは知らない。同僚のニコ・ゴンザレスが結んであげている一幕は微笑ましいのか、それともプロとしてはどうなのかと評価が分かれるかもしれないが、彼が気にしていないのならこのままでも良いのだろう。ガビにとって最も大事なのは「フットボール」ただ一つなのだ。
MF王国スペインから登場した過去最高レベルの才能、ガビ。良い意味でサッカーしか頭にない彼は高いチャレンジ精神と共に日々成長している。天賦の才を持つ彼は、いずれ相棒のペドリとともに、イニエスタやシャビといったスターを名実共に超える中盤の支配者となることであろう。クラブ・代表共に彼のプレーから目が離せない。