エンソ・フェルナンデスはアルゼンチンのW杯制覇に大きく貢献し、その活躍が認められチェルシーへの移籍を果たした。次世代のサッカー界を担う最高峰のアンカー選手として期待が寄せられるエンソ・フェルナンデスのプレースタイルや歩んできたキャリアを本記事では紹介していく。
生年月日 | 2001年1月17日 |
国籍 | アルゼンチン |
所属クラブ | チェルシー |
ポジション | MF |
身長 | 178cm |
利き足 | 右足 |
経歴 | リーベル・プレート→デフェンサ・イ・フスティシア(loan)→リーベル・プレート→SLベンフィカ→チェルシー |
エンソ・フェルナンデスはセントラルMF、守備的MFなど中盤の様々なポジションをこなすことができる万能型だが、主戦場は4-3-3システムのアンカーと言える。
そんな彼のプレースタイルは、広大なテリトリーのカバーリングに加え、優れたテクニックとパスセンス、豊富な運動量を武器に中盤で試合を組み立てていくのが特徴である。中盤の底でボールを握り、攻撃にテンポをつけるさまざまな種類のパスを出すことができる。パスの成功率も低くても80%以上をキープしており、精度の高さを窺える。そして豊富な運動量を活かして常に適切なポジションを探し、さまざまな場所で顔を出してボールを受けることができる。時には局面を変えるために、相手DFの密集しているゾーンをドリブルで運びチャンスメイクすることや自らシュートを放つことも可能だ。
元々このような試合を組み立てる能力に関しては定評があったエンソ・フェルナンデスだが、ここ2年のディフェンス面での成長が彼の評価を上げていることにも触れなければならない。中盤での守備強度やインターセプトの能力が年々向上しており、中盤でボールを刈り取ったり、カウンターの芽を摘むことができている。
従来の守備的MFと比較し、ゲームメイク能力に長けているため、タイプとしては元スペイン代表MFセルヒオ・ブスケツに近いと言えるかもしれない。
こちらは2022年4月11日に行われたAAアルヘンティノス・ジュニアーズ戦のハイライト。前半9分にボールを受けたフェルナンデスはゴールから距離があるにも関わらず右足を振り抜き、ゴラッソを決めた。さらには後半44分にも華麗なスルーパスを通して、味方のゴールをアシストしている。
カタールW杯グループステージ第2戦のメキシコ戦でのゴール。2人DFにつかれながらもコースができた瞬間にシュートを放つことのできるエンソ・フェルナンデスの技術の高さが窺える。
2001年1月17日にアルゼンチン・ブエノスアイレス州で生まれたフェルナンデスは6歳の時にアルゼンチンの名門リーベル・プレート(リーベル)に加入する。加入後はそれぞれのカテゴリーで順調に才能を伸ばしていき、2019年にはトップチームのトレーニングに帯同するようになると、2020年3月5日に行われたコパ・リベルタドーレスのLDUキト戦の後半に途中出場しトップチームデビューを果たした。
その後試合に出て経験を積む為に2020年8月から同カテゴリーのデフェンサ・イ・フスティシアに期限付き移籍することとなる。デフェンサではエルナン・クレスポ監督の信頼をつかみ取り、レギュラーとして公式戦16試合に出場した。そして2020年に開催されたコパ・スダアメリカーナでは決勝でCAラヌースを3-0で破り、クラブのタイトル獲得に貢献した。
このような活躍をふまえ、本来は2021年末までのレンタルの予定だったもののリーベルのマルセロ・ガジャルド監督が当初より早く呼び戻すことを決断したことでフェルナンデスはリーベルに復帰することとなった。復帰後の21-22シーズンでは主にダブルボランチの1角として公式戦28試合に出場して10ゴール7アシストを記録し、リーベルのリーグ優勝に貢献した。
リーベルで主力としての地位を確立したフェルナンデスは2022年7月14日にSLベンフィカに完全移籍することが発表された。ベンフィカでは早くもレギュラーの座をつかみ取り、今シーズンはここまで公式戦24試合に出場し3ゴール5アシストを記録している。
代表歴に関しては2022年9月24日のホンジュラスとの親善試合でA代表デビューを果たすとカタールW杯のメンバーに選出された。36年ぶりのワールドカップ制覇を目指すアルゼンチンはグループステージ初戦のサウジアラビア戦でまさかの敗北を喫してしまい、後がなくなってしまった第2戦のメキシコ戦で代表初ゴールとなる貴重な追加点を決めた。その後はアルゼンチンの中盤の底の主力として出場し続け、優勝に貢献。大会の最優秀若手選手賞を受賞する活躍を見せた。
W杯の活躍を受け、数多くのビッグクラブが獲得に名乗りを挙げた中、チェルシーが1億2000万ユーロ(約170億円)の8年半契約で争奪戦を制した。守備的MFに支払う金額としては異端と言え、アンカータイプの選手がエースストライカー級の価値を見出される時代の到来を決定付ける移籍ともなった。
エンソ・フェルナンデスの”エンソ”は彼の父親がかつてリーベルのプレーヤーだった”エンソ・フランチェスコリ”の大ファンでそんな憧れのアイドルの名前に由来する。
今回のカタールW杯ではグループステージのメキシコ戦でアルゼンチンのレジェンドFWリオネル・メッシからパスを受けてゴールを決めた訳だが、このゴールはワールドカップで得点を決めたアルゼンチン人の中でメッシに次ぐ史上2番目の若さ(21歳10カ月)で決めたものとなった。そのメキシコ戦以降先発出場が続いており、今大会で更なるインパクトを残せるかに注目だ。
優れたテクニックやパスセンスを武器にゲームメイクできる能力と守備面での貢献が評価されているエンソ・フェルナンデス。21歳ながらカタールW杯のメンバーに選出され、主力として大活躍を見せた。大会の最優秀若手選手賞を受賞したのは彼のここまでのプレーを見たら誰もが納得できるだろう。今後チェルシーでどのような飛躍を遂げていくのか、エンソ・フェルナンデスにも注目してみてほしい。