城福浩のプロフィール
U-17日本代表 監督…AFC U-17選手権優勝
FC東京 監督…ナビスコ杯優勝
ヴァンフォーレ甲府 監督…J2優勝
サンフレッチェ広島 監督…J1リーグ2位
東京ヴェルディ 監督…2022年〜現在
2021-22シーズンのUEFAチャンピオンズリーグの決勝戦が開催され、レアル・マドリードがリバプールに1-0で勝利。4年ぶりの優勝で、前人未到となる14度目の欧州制覇を達成した。数々のJクラブを指揮してきた城福浩氏は、今季のCLのベストイレブンを選出。4-3-3システムを採用し、優勝したレアル・マドリードからは最多となる5名を指名した。
死角から飛んでくる至近距離のシュートでも、必ずと言っていいほど触れることのできるシュートストップ能力は群を抜いている。長身にも関わらず、しなやかな身体の動きと足の運びをしながらボールに反応する。そのしなやかさは、決定機でさえも絶対絶命のピンチだと感じさせず、チーム全体に常に落ち着きをもたらしていた。決勝だけではなく、PSG戦、チェルシー戦、マンチェスター・シティ戦でも、彼の信じられないセーブがレアルにとっての最高のドラマを生み出した。
世界屈指と評されるキックのクオリティと威力で決定的な仕事をする様は、サッカーがボールを蹴る競技であることを再認識させられた。ワンタッチでもピンポイントで合わせるクロス・ミドルシュートも相手にとっては大きな脅威となる。レアルとの決勝では守備の意識も高かったからこそ、唯一の失点が悔やまれる。
強さ・高さ・スピードとディフェンダーの全てを兼ね備えており、1対1で負けることはほとんどない。自信に満ちた適切なポジショニングにより、ピンチの手前で芽を摘む判断力も光る。彼が中央で構えてる時に得点を奪うのは極めて難しい。実際、それを裏付けるかのように、レアルとの決勝で喫した失点は、彼が外に引き出されたことで生まれたシーンだった。
裏へのフィードに加え、深いくさびも打つことができ、空中戦も強い。左利きであることからも、世界で見ても希少価値の高いCBと言えるだろう。ビジャレアルを準決勝進出の快挙に導いた立役者の1人であり、彼がトップレベルにあることを、格上であるユベントスとバイエルンの攻撃陣を沈黙させたことで証明した。今夏の移籍市場の主役の1人になるかもしれない。
モダンなサイドバックの代名詞となるポジショニングで高いクオリティを示す。彼の状況判断はトップレベルの中盤と同レベルであり、マイボールの時には、いち中盤のプレーヤーとして「カンセロロール」の軸になる。立つ位置がボランチポジションのことが多いため、右利きだが左のポジションもスムーズにこなせるこことは、サイドバックとして特異な存在と言える。
止める・蹴るのエクセレントな技術を、どのレベルの試合でも披露してきた。その理由は縦横無尽に動き、ボールに顔を出す頻度が圧倒的に高いこと。また、右だけでなく左でも強烈なショットを打てること。そのため、ミドルサードだけではなくアタッキングサードでも、方向に限定されることなく決定的な仕事を、いとも簡単にやってのける。アトレティコ・マドリードとの準々決勝では、0-5-5システムという相手の徹底守備に対し、デ・ブライネが個の力で打ち破ってみせた。
フィジカルの強さに目が行きがちだが、最大の特徴は危機察知能力と対応力。ここぞという時の激しい寄せや飛び込まない落ち着いた1対1のデュエル、センターバックのカバーリングはチームに安定をもたらす。他の攻撃的な選手を活かす意味でも、黒子に徹する守備のスペシャリストは外せない。実際に、シティとの準決勝では第1戦を欠場し、第2戦にフル出場したが、彼の有無では守備の強度に歴然とした差があった。
勝敗を分ける決定的な得点を遡ると、その多くにモドリッチが絡んでいる。チェルシーとの準々決勝で披露した卓越したアウトサイドクロスや、シティとの準決勝でのベンゼマの得点は、モドリッチがスライディングでボールを奪ったところから生まれた。そして決勝でアシストを生んだバルベルデのスピードアップは、モドリッチのキープからの縦パスが起点となった。技術とハードワークでチームを勝利に導く。今年で37歳になるが、試合を通してテクニックと運動量が落ちないのだから驚きだ。
サラーの特長は、決勝で見せたようなハイスピードランニングからのトラップ・ドリブル・パス・シュート全ての技術を持ち合わせている中で、世界トップレベルである左足の武器を、オン・ザ・ボール時に緩急を混じえた即興の中で発揮する。それに加えて、程良いエゴイストであることが、規律が徹底されたクロップのチームで、違いを生み出すスパイスとなっている。フィニッシャーとしての強引さと周りの動きを生かす脱力感も併せ持つため、彼自身が輝くだけでなく、彼の周辺はモビリティに溢れる。
CL決勝トーナメントの戦いは彼抜きでは語れない。PSG、チェルシー、シティと優勝候補を相手に、劇的な勝ち上がりでチームを決勝の舞台まで押し上げたのは、恐ろしいほどの決定力を見せたこの万能型ストライカーがいたからこそ。決勝Tでの2戦連続ハットトリックの偉業、合計15得点で自身初の得点王に輝いたことが、今季のCLが彼の大会であったことを物語っている。どんな形からも決める決定力だけでなく、ゼロトップ時のクオリティの高さ、守備時のスピードアップでスイッチ役になっていることも見逃せない。
準決勝のシティを相手に劇的な逆転勝利を成し遂げたきっかけを作ったのが、第1戦でヴィニシウスがソロでのロングカウンターから奪ったゴールだった。彼はオン・ザ・ボールでも、オフ・ザ・ボールでも、縦への意識が強いのが魅力。彼のスピードを警戒して、相手守備陣はラインを下げざるをえない。ファイナルサードでの仕事も、ベンゼマとの信頼関係が構築されてからは格段にクオリティが上がった。リバプールとの決勝戦では、相手の対策に手こずる局面もあったが、ワンチャンスを物にする決勝弾を叩き込んでみせた。
どんなエリアの縦パスも許さないアグレッシブさ、ゴール前での強固さは生粋のDF気質。相手を潰すという特徴に集中できたことで、さらに守備の迫力が増した。それには相方のアラバがフィード能力に長け、タスクを分担できたことも大きい。
アンカーポジションのメインタスクは守備という概念を覆すプレーヤー。もちろん守備能力は高いが、守から攻に切り替わった時の顔出しの頻度、前方へのパスの精度でチームの攻撃も操る。そのクオリティとハードワークはCLのトップレベルの舞台でも十分に通用することを証明した。
異次元のスピードでチャンスメイクし、ゴール前ではシュートの上手さも際立っていた。前線であれば左右でも中央でも、遜色なくこなせるのも強み。これからのサッカー界を牽引する能力は存分に示している。あとは契約延長したPSGで今後CL優勝を果たせるかどうかが、彼のキャリアの鍵となるだろう。
今季のCLはレアルの4年ぶり14度目の優勝で幕を閉じたが、レアルの立て続けの大逆転劇、ビジャレアルがベスト4進出の躍進、リバプールの“死のグループステージ”全勝など、記録にも記憶にも残る大会となった。来季のCLにもさらなる盛り上がりが待っていることを期待したい。
※CL公式サイトが発表したベストイレブンはこちら。
U-17日本代表 監督…AFC U-17選手権優勝
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