アーセナルは2021-22シーズン、熾烈なトップ争いを演じたものの、終盤の失速により、あと一歩のところでUEFAチャンピオンズリーグ出場権を逃し、5位に終わった。その一方、ミケル・アルテタ監督の積極的な若手起用が功を奏し、チームとして進むべき方向性や哲学を固めることができた。来季こそトップ4に返り咲くべく、今夏の移籍市場で積極的な補強に動くことが予想される。アーセナルは今後移籍市場でどのような立ち回りを見せるべきなのだろうか?現時点での実現度をあえて鑑みず、「Off The Ball」編集部内で独自の見解を談論した。
アーセナル最大のミッションは“ジェズス獲り”
アーセナルにとって、今夏の移籍市場における最大のミッションは、マンチェスター・シティのブラジル代表FWガブリエル・ジェズスの獲得でしょう。オーバメヤンが昨季に去り、ラカゼットが退団した今、アーセナルには新たなるエースストライカーが必須です。シティでコーチを務めていたアルテタ監督にとっては、ジェズスの能力も最大限に引き出せるでしょうし、シティで築いた信頼関係が重要なコネになるはずです。
ジェズスの獲得に全身全霊を尽くすだろうね。ジェズスは2021-22シーズン、右ウイングで起用されることが多く、見事なパフォーマンスでその期待に応えてみせた。ただ、プレーや動き出しを見ていて一目瞭然だったので、彼はエースストライカーとして出場したいという意志だった。ハーランドがシティに加入した今、センターフォワードでスタメンを勝ち取れる確率はほぼないと考えていいだろう。ジェズスは黒子役に留まるような存在ではない。彼が新天地で真の9番となることを望んでいるはずだ。
ジェズス獲得失敗時のアーセナルの“プランB”
ジェズスの獲得が破談に終わったとしたならば、次に獲得に動くべきなのはインテルのアルゼンチン代表FWラウタロ・マルティネスだと思っています。ラウタロ・マルティネスは何年にもわたりセリエA屈指のストライカーとして才能を遺憾無く発揮していますし、CLでもリバプール相手に強烈なゴールを奪っています。インテルが財政難でもあることから、100億円近くのオファーを提示すれば、獲得は不可能ではないはずです。
※ブラジル代表FWリシャルリソンは2022年7月1日にトッテナムへの完全移籍を正式発表。
まずジェズスを逃さないことが最優先事項。それが叶わなければ、エバートンのブラジル代表FWリシャルリソンはありだと思っている。エバートンは終盤まで残留争いを強いられる苦しいシーズンを過ごすことになった。なんとか残留に成功したものの、エースストライカーを務めるリシャルリソンにとっては、屈辱的なシーズンだっただろう。今年に開催されるカタールW杯のブラジル代表メンバー選出を目指すならば、来季も同じようなシーズンを送るわけにはいかない。もしもアーセナル移籍のチャンスがあるならば、その波に乗るべきだろう。あとは、もし仮にサカが急転直下で退団することになれば、後任の補強は不可欠。リーズのブラジル代表MFハフィーニャが最適だろう。ただ、サカが退団しないのであれば、無理に補強に動く必要はないと思う。他に注力するべきポジションがあるはず。
アーセナルの中盤を司るリンクマンの補強は?
※アーセナルは2022年6月21日にポルトからファビオ・ヴィエイラの獲得を発表。
中盤に関しては、攻守においてマルチタスクをこなせる存在が必要と考えています。今はジャカがその役割を務めていますが、シティのドイツ代表MFイルカイ・ギュンドアンの獲得に動くのありかと。シティでレギュラーの地位を確立できているわけではありませんし、アルテタとも良好な関係を築いています。経験値も豊富なので、ヤング・アーセナルを引っ張るリーダーシップにも期待できるでしょう。
確かに、今のアーセナルには、最終ラインと前線を円滑に連携させるリンクマンが必要かもしれないね。そのような意味で言えば、ウルブスのポルトガル代表MFルベン・ネヴェスが適任。プレミアリーグという厳しい舞台で、何年にもわたって目覚ましい活躍を見せた実績がある。プレミア以外であれば、ラツィオのセルビア代表MFセルゲイ・ミリンコビッチ・サビッチ、ナポリのスペイン代表MFファビアン・ルイス、ユベントスのブラジル代表MFアルトゥールも面白いと思う。
アーセナルの左SBで適任なのは攻撃的DFジンチェンコ
あとは、レスター・シティのベルギー代表MFユーリ・ティーレマンスはアーセナルのチームカラーに合うと思います。トーマス・パーティの相棒として期待できますし、何よりプレミアリーグでの実績が申し分ないです。最終ラインに関しては、シティのウクライナ代表DFオレクサンドル・ジンチェンコの獲得に動くべきかと。ククレジャがシティに移籍するとなると、ジンチェンコの出場機会は激減することが予想されます。獲得できる可能性は充分にあるはずです。
自分もジンチェンコを獲得しにいくべきだと考えている。ティアニーがシーズン通してフル稼働できるのであれば問題ないが、膝に爆弾を抱えてしまった分、その計算が立たない。代役のヌノ・タヴァレスもやれるだけのことやっていたが、右SBの日本代表DF冨安健洋は、危険な芽を摘み取るリスクヘッジのタスクが求められている分、左SBは攻撃で違いを生み出す、もしくは中盤の役割を補填できる存在が望ましい。その点で言えば、ジンチェンコはベストな選択肢になるはず。
アーセナル夏の補強策のまとめ
2021-22シーズンのアーセナルは、積極的な若手起用と戦術がチームに浸透することで、熾烈なトップ4争いをリードする存在となったが、最終的には5位に終わり、CL出場権を逃す格好となった。来季こそ7年振りのCL出場を目指すべく、今夏の補強候補として、
- ブラジル代表FWガブリエル・ジェズス(マンチェスター・シティ)
- アルゼンチン代表FWラウタロ・マルティネス(インテル)
- ブラジル代表FWリシャルリソン(エバートン)
- ブラジル代表MFハフィーニャ(リーズ・ユナイテッド)
- ドイツ代表MFイルカイ・ギュンドアン(マンチェスター・シティ)
- ポルトガル代表MFルベン・ネヴェス(ウルブス)
- セルビア代表MFセルゲイ・ミリンコビッチ・サビッチ(ラツィオ)
- スペイン代表MFファビアン・ルイス(ナポリ)
- ブラジル代表MFアルトゥール(ユベントス)
- ベルギー代表MFユーリ・ティーレマンス(レスター・シティ)
- ウクライナ代表DFオレクサンドル・ジンチェンコ(マンチェスター・シティ)
上記のメンバーの名前が挙げられた。中盤に関してはファビオ・ヴィエイラの獲得に成功したため、これ以上の補強はなさそうだ。それでも来季にトップ4へと返り咲くためには他ポジションの補強が必要なのは間違いないものの、若手が躍動したアーセナルの新たなる黄金時代の到来が数年後に期待できるのも確かだろう。