アレクシス・マック・アリスターはアルゼンチン代表をW杯優勝へと導いた立役者の1人だ。ゲームメーカーとして稀代の才能の持ち主であり、代表やクラブで鍛え上げられたハードワークも徹底されていることから、現代サッカーにおいて非常に重宝されるプレースタイルを備えている。本記事では、そんなアレクシス・マック・アリスターについて紹介していく。
アレクシス・マック・アリスターのプロフィール
生年月日 | 1998年12月24日 |
国籍 | アルゼンチン |
所属クラブ | ブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFC |
ポジション | MF |
身長 | 174cm |
利き足 | 右足 |
経歴 | アルヘンティノス→ボカ・ジュニアーズ(loan)→ブライトン→リバプール |
アレクシス・マック・アリスターのプレースタイル
マック・アリスターは、ボランチやトップ下、インサイドハーフを主戦場とするゲームメーカーとして活躍している。ショートパスとロングパスを使い分ける“ビジョン”を備えた司令塔で、ビルドアップ時の視野が広く、創造性と技術力に長けている。フィジカルがとりわけ強いわけではないが、持ち前のアジリティーとボディーフェイントを駆使してスルスルとドリブルで前に運ぶことができる。また、ミドルシュートやFKも得意としており、鋭い曲線を描くコントロールショットを得意としている。
アルゼンチン代表とブライトンは双方に献身的な運動量を求められるチームスタイルのため、攻撃面でセンスを光らせるマック・アリスターも、攻守にわたってハードワークを怠らない姿勢が染み付いている。W杯ではエースのリオネル・メッシの負担を可能な限り減らすため、過密日程の中でも一貫して泥臭く走り回っていた。一方、クラブではMFモイセス・カイセドが守備のタスクを担っていることもあって、トップ下に近い位置でハイプレスに励んでいる。
一方、課題としては、対戦相手が「マック・アリスター対策」を施してきた場合、試合から消えてしまうケースが多い点が挙げられる。戦術の中心に据えるゲームメーカーが封じられることで、チームも比例してトーンダウンしてしまう傾向にある。今後は、そういった対策をどのように打破していくかが伸び代となる。
アレクシス・マック・アリスターのスーパープレー
2023年1月7日に行われたFAカップ3回戦のミドルスブラ戦。カウンターの場面でゴール前に構えていた際、味方のミドルシュートに対し、咄嗟にバックヒールで軌道を修正し、ゴール右へと流し込み、瞬発的な技術力の高さを披露している。
また、ゴールから約25m付近で得たFKの場面では、相手GKが見送ることしかできないコースとスピードのシュートを放ち、これは右ポストに嫌われたが、その右足の精度の高さを示した。
さらに、右サイドからクロスに対して、相手守備陣の死角を突く形でわずかに空いたスペースに走り込み、ダイレクトでゴール左隅へと流し込むシュートを決めている。
ゲームメーカーとして一流だが、ゴールへの意欲の高さも窺える。
アレクシス・マック・アリスターのキャリア
マック・アリスターは2016年10月に母国クラブのAAアルヘンティノス・ジュニアーズでプロデビューを果たした。当時2部リーグに在籍していたが、1部昇格へと導いた功績が認められ、2019年1月にブライトンへの完全移籍が決定した。1年間のローンという形でアルゼンチンに留まってプレーするという条項も盛り込まれており、その後は名門ボカ・ジュニアーズへとレンタル移籍。長い武者修行を経て、2020年2月にブライトンへと正式に加入した。
アルゼンチン代表には、2019年9月に初招集を受けた。2022年に開催されたカタールW杯のメンバーにも選出され、初戦サウジアラビア戦を除く合計6試合に出場し、主力として優勝に貢献した。W杯での大活躍で、マック・アリスターは一躍その名を世界に轟かせることになり、数多のビッグクラブからの注目の的となった。
2023年6月、3500万ポンド(約62億円)の移籍金でリバプールへの完全移籍を果たした。
マック・アリスターのエピソード
マック・アリスターは英放送局「スカイ・スポーツ」のインタビューで「日本からプレミアリーグにやってくる選手は決して多くはないが、ブライトンは素晴らしい仕事をしている。三笘がどれだけ素晴らしい選手か、今では誰もが知っている」と、ブライトン加入1年目から中心選手として活躍する同僚の日本代表MF三笘薫を引き合いに出し、ブライトンのスカウティングの優秀さを説いている。
マック・アリスターの叔父であるパトリシオ・マック・アリスターも、かつてはサッカー選手で、当時日本サッカーリーグの三菱自動車工場サッカー部に在籍していた。
ブライトン退団を表明後、リバプールと交渉を進めていた際、マンチェスター・ユナイテッドからより好条件のオファーが届いたと報じられていたが、本人がアンフィールドでプレーしたいという意志を伝え、断りを入れたという。
マック・アリスターのまとめ
才能溢れるゲームメーカーとしてプレミアリーグで輝きを放っている一方、献身的なハードワークでアルゼンチン代表をW杯優勝まで導いたマック・アリスター。現代サッカーに必要な要素を全て揃えていると言っても過言ではないだろう。
新天地リバプールでも同様の輝きを放つことができるのか、もしそれが達成できれば、世界トップクラスの中盤選手として評価はさらに高まっていくことだろう。