現代サッカーにおいてサイドバック(SB)というポジションはディフェンス面だけではなくて攻撃面に関しても多くを要求される。フランス王者パリ・サンジェルマン (PSG)に所属するモロッコ代表DFアクラフ・ハキミはそんな現代のSBを体現したような注目の若手DFである。本記事ではどのようなプレースタイルなのかやそのキャリアについて紹介していく。
生年月日 | 1998年11月4日 |
国籍 | モロッコ(スペイン) |
所属クラブ | パリ・サンジェルマン |
ポジション | DF |
身長 | 179cm |
利き足 | 右足 |
経歴 | レアル・マドリード→ボルシア・ドルトムント(loan)→インテル・ミラノ→パリ・サンジェルマン |
ハキミのメインポジションは両SBと右ウィングバック(WB)であり、比較的多くのポジションに対応できることがわかる。ハキミの強みとしては圧倒的なスピードを活かした攻撃参加やピッチ内を何度もスプリントできる持久力である。特にインテル在籍時は3-5-2の右WBを務めており、自陣でボールを奪ってからカウンターを発動する際は、ハキミが圧倒的なスピードでかけあがりゴールやチャンスを演出していた。
また攻撃参加時には1対1の勝負にもドリブルではがすことができ、そこからシュートを放ちゴールを狙うことや味方のゴールをアシストすることもできる点が魅力的だ。サイドバックながらインナーラップからのシュートや利き足でない左足でのシュートを放つなどバリエーションも豊富で攻撃にアクセントをつけれるサイドバックといえる。実際に現在在籍するパリでは攻撃面でタレントが揃っている環境の中で、右SBとしてリーグ戦で4ゴール6アシストという成績を残しており、このことからもハキミの攻撃面での貢献が分かる。
そんなハキミだが守備に関しては課題があるのが現状である。今所属するPSGでは今期タックル成功率はリーグ内で15位だがインターセプトに関する数値はあんまり良くない。またエアバトルに関しても成功数は少ない。
また攻撃面に関してはボックス内でのパスの成功率をあげることでより危険な選手になることができるだろう。
2021-2022シーズン第1節トロワAC戦(2-1)では、ハキミが前半19分に加入後初ゴールであるとともに、PSGの開幕ゴールをあげた。エレーラからのパスに反応したハキミが相手ディフェンダーを背負いながら右足でゴールへと押し込んだ。
【引用:Ligue 1 Uber Eats Official】
セリエA2020-2021シーズンの第10節ボローニャ戦の前半45分にインテルが自陣でボールを奪うと中盤のビダルを経由してハキミへとつなぎそのまま運びカットインから逆足でゴールを決めた。まさにインテル時代のハキミの役割や成長を全て詰め込んだようなゴールだ。
ハキミは地元クラブでもあるクラブ・デポルティーボ・コロニア・オフィヘビに2005年に入団する。そこでのプレーがレアルマドリードの関係者に伝わり2006年にレアルマドリードの下部組織に入団する。そこで順調に成長していき2016年にレアルマドリード・カスティージャに活躍の場を移す。この年はこれだけではなく7月にはトップチームのプレシーズン遠征に招集され、そこで無事トップチームデビューを果たす。またハキミは生まれ育ったスペイン代表ではなく両親の故郷であるモロッコ代表を選択し、この年の10月のカナダ戦で代表デビューを果たした。このように若くから才能のあふれているハキミはカルバハルの後釜や未来のカルバハルと高く評価を受けていた。その後2017年にトップチームに昇格し、さらにカルバハルの離脱により、2017年10月1日のエスパニョール戦で公式戦デビューを飾り、17-18シーズンにおいて17試合に出場し2得点を決めた。この活躍もあり2018年にはロシアワールドカップのモロッコ代表に選出され全3試合に出場した。
2018年7月5日にレアルマドリードがアルバロ・オドリオソラを獲得したこともあり、ハキミは経験を積む為に、ボルシア・ドルトムントへ2年間のレンタル移籍することになった。ここでハキミは持ち前の攻撃力やスピードを武器に活躍し、チームの躍進に貢献した。翌シーズンには45試合に出場し9得点10アシストと大きく数字を残した。
このようなドルトムントでの成果からレアル・マドリード復帰かと思われたが、2020年7月インテルと2025年までの契約を結んだ。インテルではコンテ監督のもとWBに挑戦し、自身のスピードと攻撃力を活かし公式戦45試合で7ゴール11アシストを決め、チームを11年ぶりの優勝へと導いた。
2021年7月6日インテルの財政上の事情等も影響し、7000万ユーロの移籍金でPSGへ移籍した。PSGでは主に右SBで出場し、41試合で4ゴール6アシストを記録し、チームをフランス王者へと導いた。
ハキミはスペインマドリード州のヘタフェで生まれた。ただ両親は共にモロッコ人であり、そのことが影響してモロッコ代表を選択した。両親は初めは水泳などをやらせたかったみたいだが、少年時代のハキミが熱中したのはサッカーだった。そんなハキミは子供の頃はレアル・マドリードを応援していたとインタビューで答えており、また憧れていた選手にはマルセロを挙げている。そんなハキミだがプライベートでは12歳年上のスペイン人女優のヒバ・アブークと結婚しており、2人の息子がいる。所属しているPSGではムバッペと仲が良く、その様子はインスタなどでも確認ができる。またムバッペのレアル移籍が噂されていた時期にはムバッペとマドリードのレストランで食事をしていたといった報道もされていた。
圧倒的なスピードと持久力、攻撃力を武器に試合に出るようになった2018年以降ドイツ、イタリア、フランスといった3か国で結果を残してきたハキミ。これまで両SB、右WBと複数のポジションを経験しているため、いろいろな戦術に対応できる強みもある。一部守備面で課題はあるものの、23歳と若いこともあり更なる成長も期待できる。これらの能力や経験から将来的に世界一のSBとなる可能性を充分に秘めており、非常に楽しみな選手である。