稀代のプレーメーカーとしてマンチェスター・シティの中盤に君臨するベルギー代表MFケヴィン・デ・ブライネ。ジョゼップ・グアルディオラ監督から「彼はマスタークラスの選手だ。私の人生でもベストの1人だ。現時点では彼が最高。今、ミッドフィールドのポジションでは彼が世界最高だよ。」と絶賛されるほどの能力の持ち主である。実際に彼がフィールドにいる、いないではシティの攻撃の迫力に違いが出るほどである。そんなデ・ブライネのプレースタイルやスーパープレー、キャリア等をこの記事では紹介していく。
デ・ブライネの基本プロフィール
生年月日 | 1991年6月28日 |
国籍 | ベルギー |
所属クラブ | マンチェスター・シティ |
ポジション | MF |
身長 | 181cm |
利き足 | 右足 |
経歴 | KRCヘンク→チェルシーFC→ブレーメン(loan)→ヴォルフスブルク→マンチェスター・シティFC |
デ・ブライネのプレースタイル
今現在、世界最高のMFと言っても過言ではないデ・ブライネは、グアルディオラ監督率いるマンチェスター・シティの中盤に無くてはならない存在であり、攻撃の中心人物である。
メインポジションは3枚の中盤の右インサイドハーフ。高い戦術理解力とサッカーIQを持ち、グアルディオラの考える戦術を具現化する選手である。最大の強みは右足のキックだ。右足から繰り出されるミドルシュート・スルーパス・ロングパス・クロスは一級品である。ミドルシュートは力強く、相手キーパーの手の届かないコースへ突き刺すことが出来る。相手の守備ブロックにスペースを見つければ、精密なスルーパスでゴールに直結するパスを出す。逆サイドに大きなスペースがあればロングレンジでもズレのないフィードを供給する。右サイドでボールを持てば相手GKとDFラインの間へ高速クロスを送り込む。右足だけでなく、左足でも遜色ないキックを見せる。また、強靭なフィジカルも持っているため、自分自身でボールを前線に運ぶドリブルも行うことが出来る。前述の通り、戦術理解とサッカーIQが高いため、いるべき場所にポジショニングを取ることができ、特に相手MFとDFの間のハーフスペースにタイミングよく顔を出し、味方のパスを好位置で受け、そこからチャンスを演出することが出来る。守備の献身性も高く、システム上生まれてしまうアンカーの脇のスペースを埋めるために走ったり、ハイプレスをかけ続けたりすることも出来る。
上記内容から読み取れる通り、デ・ブライネはMFに必要な全ての能力を高水準で持ち合わせている。これが、彼が現在において世界最高のMFのひとりであると言われる所以である。
デ・ブライネのスーパープレー
デ・ブライネの武器といえば、強烈な弾丸ミドルシュートだ。これまで数多くのミドルシュートを決めてきた。シュートコースとスペースがあれば、枠内にとんでもないシュートを突き刺してくるため、相手はデ・ブライネをフリーにしてはならないことが動画からわかる。
https://twitter.com/goaljp_official/status/1255105772129673217
【引用:GOAL公式Twitter】
【引用:GOAL公式Twitter】
プレミアリーグの1シーズン最多アシスト数(20アシスト)の記録を持つデ・ブライネは数多くの味方のゴールをお膳立てしてきた。右足から繰り出される高速で高精度なクロスやスルーパスは常に相手の驚異として警戒されている。特に右サイドから送り込まれる高速クロスは味方の走り込むスペースにピンポイントで合わせることが出来る。
デ・ブライネのキャリア
ベルギーのヘントに生まれたデ・ブライネは、2003年にKAAヘントのユースに入団し、サッカーキャリアをスタートした。2005年からは現在日本代表MF伊東純也も所属しているKRCヘンクのユースチームに移籍し、2008年にトップチームに昇格。着々と実力をつけたデ・ブライネは、2012年1月にイングランドのビッグクラブであるチェルシーへ移籍を決める。最初の半年は移籍元のヘンクに残り、8月からはドイツのブレーメンへレンタル移籍でプレー機会を得ていた。翌年2013年の7月にチェルシーに復帰するが、当時の監督であったジョゼ・モウリーニョに出番を与えられず、さらにはモウリーニョ自身の口から「デ・ブライネは中盤で6番手の選手だ。」と言われ、出場機会を求めて2014年1月にヴォルフスブルクへ完全移籍した。ヴォルフスブルクではその実力からチームの中心として活躍。2014-15シーズンのブンデスリーガでは10得点20アシストと大爆発し、チームの2位に貢献。自身はドイツ年間最優秀選手を受賞した。
ヴォルフスブルクでの活躍が認められ、2015年8月30日に、マンチェスター・シティへ完全移籍を果たす。2016-17シーズンからグアルディオラが監督に就任すると、すぐに信頼を勝ち取り、常に中心選手として重用されている。2017-18シーズンにはPFA年間ベストイレブンとプレミアリーグのアシスト王を受賞。2019-20シーズンには自身2度目のプレミアリーグアシスト王とマンチェスター・シティの選手としては初のPFA年間最優秀選手賞を受賞。2020-21シーズンには、元フランス代表FWティエリ・アンリ、ポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドに次ぐ、史上3人目の2年連続PFA年間最優秀選手賞を受賞。マンチェスター・シティを引っ張る存在として君臨している。
ベルギー代表には2010年8月11日にフィンランド代表との親善試合にてA代表デビュー。2018年のワールドカップではベスト16の日本戦の後半49分の決勝点の起点となり勝利に貢献。同大会では3位決定戦のイングランド戦でも勝利に貢献した。
デ・ブライネのエピソード
8歳の頃、当時所属していたチームのコーチに「他のチームの方が練習の質が高いから、移動したい」と言ってのけたそうである。
また、少年時代に友人の家の庭でボールを蹴っていた時に、花壇を割ってしまったことがあり、その際にボールを蹴ることを禁止されたが、「利き足と逆の足なら、強く蹴れないから」と友人の母親を説得し、利き足と反対の左足のみでボールを蹴ることを条件に、ボールを蹴ることの許しを得たこともあるそうだ。
少年時代から、サッカーへの向上心が高かったことがわかる2つのエピソードである。
2014年10月末に出版した自伝「Keep It Simple」の中で、昔の彼女がチェルシーでの元同僚のベルギー代表GKティボー・クルトワと浮気をしていたことを暴露し、同選手を批判した。デ・ブライネがチェルシーに所属していた際に出場機会を得られなかった理由として、当時のモウリーニョ監督は「練習をあまりしないし、女性関係にトラウマがあり、感情的に不安定だ。自分を律することができれば、ベンチに座ることなどなくなるだろう」と答えたという。これはクルトワとの騒動に関係しているであろうと読み取れる。稀代のプレーメーカーも女性トラブルはコントロール出来なかったようだ。
デ・ブライネのまとめ
インサイドハーフとして必要な多くの能力を高水準で持ち合わせ、世界最高のMFと言われるまでとなったケビン・デ・ブライネ。筆者自身もデ・ブライネが世界最高であると現時点では考えている。これまでバロンドールの3位以内に一度も入ったことがないのが不思議なくらいである。シティでのチャンピオンズリーグ制覇、ベルギー代表でのワールドカップ優勝、この2つのタイトルに貢献した暁にデ・ブライネがバロンドール受賞に近づくのではないか。そしてその日が訪れるのもそう遠くないかもしれない。