ビジャレアルでは欠かせない中心選手として2021-22シーズンのUEFAチャンピオンズリーグでチームをベスト4へと導く原動力となった、スペイン代表DFパウ・トーレス。CBとしてチームの軸となり、彼の存在無しではCLベスト4へと駒を進めるのは難しかったであろう。2023年からはアストン・ビラへ移籍し、プレミアリーグへやってきた彼はどのようなプレーでチームに貢献し活躍しているのか。プレースタイルやスーパープレー等をこの記事では紹介していく。
パウ・トーレスの基本プロフィール
生年月日 | 1997年1月16日 |
国籍 | スペイン |
所属クラブ | アストン・ビラ |
ポジション | DF |
身長 | 191cm |
利き足 | 左足 |
経歴 | ビジャレアルCF→マラガCF(loan)→ビジャレアルCF→アストン・ビラ |
パウ・トーレスのプレースタイル
メインポジションは左のCB。プレースタイル的には3バックの左も適任であろう。パウ・トーレスの持ち味はビルドアップ能力の高さである。左利きであることを活かして、左CBのポジションから対角線の敵陣の左サイドへ精度の高いロングフィードを武器としている。ショートパス、ロングパス共に成功率は高く、パス成功率が95%となることもある。ボールを持ち運び、パスコースを探しながら前進する能力も非常に高い。スペインではこのスキルのことを「コンドゥクシオン」と呼ぶが、スペインの指導者向けの教材でこの「コンドゥクシオン」の参考映像にはパウ・トーレスが使われているほどのスキルを持っている。上記の能力から、所属するビジャレアルのビルドアップには欠かせない存在となっている。
身体能力自体が非常に高いため、DFスキルももちろん高い水準にある。191cmの体格を活かしたクロスやロングボールへのヘディングでの跳ね返しや、俊敏力を活かしたタックルやシュートブロックで、相手の攻撃からチャンスを奪う。スプリント能力、機動力が高く、守備範囲が広いCBであるため、相手FWに裏のスペースを取られた場合でもそれに追いついてDFすることが出来る。
現代のCBに必要な能力のトレンドである「ビルドアップ能力」と「守備範囲の広さ」を兼ね備えたパウ・トーレスは、現代のCBの中でもトップレベルであると言えよう。2021-22シーズンのUEFAチャンピオンズリーグでは、ベスト16でユベントス、ベスト8でバイエルン・ミュンヘンの攻撃を抑えて勝利に貢献し、ベスト4ではリバプールに敗れはしたものの、セカンドレグの前半はリバプールの攻撃を封じ、相手FWを苦しめた。格上のクラブ相手にパウ・トーレスが互角以上に渡り合ったことが、彼が世界レベルのCBであることを証明したのである。
パウ・トーレスのスーパープレー
パウ・トーレスのナイスディフェンス集。機動力・俊敏性を活かしたタックルやシュートブロックは常にチームの助けとなる。守備範囲が広い彼はたとえ裏のスペースを突かれようともすぐさま追いつき、相手のチャンスを潰すことが出来る。
パウ・トーレスのキャリア
ビジャレアルの下部組織出身のパウ・トーレスはユース時代をチームの主力として過ごし、2017年11月26日、ラ・リーガのセビージャFC戦で後半84分から途中出場し、トップチームデビューを果たした。この2017-18シーズンはトップチームの主力とまではなれず、6試合のみの出場となった。翌2018-19シーズンは経験を積むために当時2部のマラガへ1年間のレンタル移籍を行った。マラガでは主力選手としてリーグ戦38試合、昇格プレーオフ2試合に出場。マラガで試合経験を積んだ後、翌2019-20シーズンはビジャレアルへ復帰し、2019年10月2日にはビジャレアルとの契約を2024年まで延長した。現在ではチームのレギュラーポジションを確立し、出場を続けている。
スペイン代表のA代表には2019年の10月15日に初招集を受けるも、この招集試合では出場は無かった。同年11月15日、EURO予選のマルタ戦でA代表初出場と同時に初ゴールをマークし、デビューを果たした。現在ではスペイン代表監督のルイス・エンリケの信頼を勝ち取り、CBのファーストチョイスとして出場している。
CBとしてトップレベルのスキルを持つパウ・トーレスは、ビッグクラブへの移籍話を耳にすることが多くなっている。マンチェスター・シティやマンチェスター・ユナイテッド、チェルシーなどのプレミアリーグのビッグクラブが彼を狙っているとされている。今後、下部組織から育てられたビジャレアルへ残留を続けるのか、それともビッグクラブへステップアップの道を選ぶのか、注目の存在である。
ビッグクラブへの移籍も噂される中、2023年7月12日に恩師であるウナイ・エメリ監督率いるアストン・ビラへ移籍。自身初の海外挑戦となっている。
パウ・トーレスのエピソード
2022年5月29日、スペイン紙「アス」がパウ・トーレスのビジャレアルとの生涯契約の可能性について伝えた。上記キャリアでも記述の通り、パウ・トーレスにはプレミアリーグのビッグクラブが興味を示しているが、彼はこの状況について、「ビジャレアルからの更新のオファーしかない。毎年のように色々な話があるけど、僕には望む場所、自分自身の人生のクラブにいるという安心感がある。今、更新のオファーを受けているけど、僕は非常にポジティブなものとして評価しているよ。」と残留に前向きな姿勢を話している。ビジャレアルとの生涯契約についても「続けるという考えは、常に会長と話し合ってきたことなんだ。こうした状況が起こりうることは分かっていた。お互いに愛情があるから、この先もずっとここにいられると思う。だから何も否定しない。」とクラブとの良い関係を話し、生涯契約を結ぶ可能性もあることを話している。この情報は、パウ・トーレスがビジャレアルとの良い関係を築いていることを物語っており、移籍交渉は簡単ではないことを表している。
パウ・トーレスのまとめ
現代のCBとして重要なスキルである「ビルドアップ能力」と「守備範囲の広さ」を兼ね備えたパウ・トーレスは、スペイン代表のCBのファーストチョイスであると共に、世界のCBの中でも5本の指に入る実力があると言ってもいいだろう。上記エピソード欄でも書いたように、ビジャレアルとの生涯契約を結ぶという噂もあるが、プレミアリーグのチームを中心に多くのビッグクラブが彼を求めている状況なのは事実であった中、アストン・ビラへ移籍した。初のプレミアリーグ挑戦となるが、ビジャレアルで見せていたような活躍が出来るのか、注目の存在である。