古橋・前田・旗手・井手口、セルティック移籍の背景は? 小倉勉が解説「アンジェの入念な視認」

セルティックに所属する日本人選手
【引用:セルティック公式Twitter & Off The Ball編集部】

現在、日本で最も注目されている海外クラブの1つが、スコティッシュ・プレミアシップの名門セルティックだ。元ヴィッセル神戸FW古橋亨梧、元横浜F・マリノスFW前田大然、元川崎フロンターレMF旗手怜央、元ガンバ大阪MF井手口陽介ら、Jリーグで活躍してきた逸材が在籍しており、横浜FMでJ1優勝を成し遂げたアンジェ・ポステコグルー監督が指揮官を務めている。今季から東京ヴェルディのヘッドコーチに就任し、昨季まで横浜FMのスポーツディレクターを務めていた小倉勉氏が、ポステコグルー監督の元でプレーするセルティックの日本人4選手について見解を述べている。

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古橋・前田・旗手・井手口がセルティックでリーグ優勝を経験

古橋は2021年夏、前田・旗手・井手口は2022年冬の移籍市場でセルティックに移籍。井手口は負傷を抱えていたこともあり、調整期間に時間を要したが、加入した日本人選手たちはいずれも、即座にファンを納得させるだけの活躍を披露してみせた。

小倉 勉

井手口に関しては、渡欧したタイミングで負傷持ちだったので、リハビリやコンディション調整に時間を割かれたというのもあって、なかなか大変だったと思う。彼には、万全となった上で改めてスタートという形になるだろう。古橋・大然・旗手がA代表に定期的に招集されるようになったのは、セルティックでの活躍が評価されているからこそ。最大の目標であるリーグ優勝も成し遂げ、来季のCLのストレートインも決めた。日本人選手たちの活躍も大きく貢献している。

ポステコグルー監督は「Jリーグ時代から入念に4人を見極めていた」

日本人選手たちの迅速なフィットは、2021年夏にセルティックに就任したポステコグルー監督の存在が大きい。横浜FM時代にポステコグルー監督と共闘していた小倉勉氏は、Jリーグで指揮していた際の入念な視認と分析の元、自信を持って獲得に踏み切っていると述べた。

小倉 勉

なにより、Jリーグ時代からアンジェ(・ポステコグルー)は自らの目で確認し、4人とも入念に見極めていた。横浜FMで手元にいた大然だけでなく、残りの3人に関しても、対戦相手となる際に、緻密に分析して特長を把握している選手たちだったので、セルティック加入後も、彼らに対する認識や評価にズレは生じていないと思う。アンジェは、自分のサッカーのコンセプトにマッチしていると確信して、彼らを獲得している。

セルティックで活きるポステコグルー監督と前田大然の師弟関係

前田は横浜FM時代、ポステコグルー監督の指導を受けることで、ハイプレスと動き出しの質が大幅に向上し、持ち味の圧倒的なスピードがゴールに直結するようになった結果、得点王を受賞する快挙も達成した。愛弟子との再会を熱望したポステコグルー監督のラブコールに応える形で移籍を果たし、シーズン途中の加入ながら1年目で6ゴールを記録。小倉勉氏は、Jリーグの舞台で培われた師弟関係が大きなアドバンテージになっていると語っている。

小倉 勉

とりわけ大然は、セルティックで何をするべきなのか、どんな役割を期待されているのか、横浜FMでアンジェに鍛えられていたから、熟知していた。試合を見ていても、起用されたポジションでどのような立ち回りをするべきか、明確に把握しているのが伝わってくる。例えば、逆サイドからボールがきたら、必ず真ん中には詰めている動き出しだったり、前線からハイプレスする時は、3度追いしてどこでボールを蹴らせるか、とかね。クラブからしたら大然は助っ人外国人だけど、アンジェからしたら自分が育てた選手でもあるし、心から頼りにしているはず。

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日本人活躍のセルティックは今後も「Jリーグに目を向ける」

スコットランド王者セルティックで際立った結果を残すことができれば、隣接しているイングランドにも当然、いち早く選手の評判が届くことになる。そうなると、必然的にプレミアリーグからの関心を集めることになり、迅速なステップアップを見込める。仮に誰かしらの退団が決まった場合、すでに日本人選手の評価がクラブ内でも高まっていることから、Jリーグで活躍している選手の更なる引き抜きも行われる可能性が高いと推測している。

小倉 勉

旗手に関しては、サイドも真ん中も遜色なくプレーできるという話も実際にしていた。技術もあり、小柄ながらフィジカルも強い。あらゆる面で、アンジェのニーズに合っている選手だった。そういう意味では、井手口も小柄だが、横浜FMでいう喜田のような役割を期待していると思う。古橋は言うまでもなく、一足先に活躍しているし、神戸時代も、横浜FMが対戦する際はとりわけ警戒していた存在だった。セルティックで活躍すれば、何人かの選手はプレミアリーグのクラブの目に留まるだろう。誰かを放出する際は、また日本人選手を補強する可能性は大いにある。日本人選手は中村俊輔だけじゃない、というインパクトはすでにスコットランドに根付いているので、今後もJリーグに目を向けることだろう。

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日本人4選手のセルティック移籍の背景のまとめ

【引用:セルティック公式Twitter】

ポステコグルー監督率いるセルティックには、古橋・前田・旗手・井手口が在籍していることもあり、日本の注目度は高まっている。そして、日本人選手の活躍もあり、セルティックはリーグ優勝の奪還に成功。ポステコグルー監督と共闘した経験を持つ小倉勉氏は、横浜FM時代に入念に目視と分析を行った上で獲得に踏み切ったことで、セルティックでも迅速な適応が叶い、印象的なパフォーマンスを発揮することができたと言及している。セルティックに留まらず、スコットランドの他クラブも日本人選手の発掘に乗り出す可能性もあり、今後はスコットランド経由で日本人選手が世界に羽ばたくルートが確立することになるかもしれない。

※当記事のインタビューは2022年6月4日に実施したものです。

当記事のインタビュイー

小倉勉のプロフィール

U-17日本代表 ヘッドコーチ… AFC U-17選手権優勝

日本代表 コーチ… 南アフリカW杯ベスト16

U-23日本代表 ヘッドコーチ…ロンドン五輪ベスト4

大宮アルディージャ 監督…J1残留

ヴァンフォーレ甲府 ヘッドコーチ…J2優勝

横浜F・マリノス SD…2017年〜2022年

東京ヴェルディ ヘッドコーチ…2022年〜現在

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セルティックに所属する日本人選手

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この記事を書いたライター

「Off The Ball」編集長。
大手サッカー専門メディアに過去6年配属。
在籍時は、高校サッカー・J1リーグを主に担当。
「DAZN」企画でドイツ・スペインへの長期出張で現地取材を経験。
人生の転機は、フェルナンド・トーレスの引退会見で直接交わした質疑応答。
趣味はサウナ。

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